東京地裁、個人投資家提起のライブドアの有価証券報告書の虚偽記載の損害賠償請求訴訟で一部認容


ライブドアの有価証券報告書の虚偽記載で株価が下落したとして株主が役員似損害賠償を請求している訴訟が複数提起されています。

機関投資家が提起した方では、平成20年6月13日にすでに判決が出ており、損害賠償請求が認定されています。

詳しくは以下のエントリーをどうぞ。

東京地裁、ライブドアの有価証券報告書虚偽記載の損害賠償請求で、検察官による「公表」があったと判断

 

このたび、別ルートの個人株主が同じ請求をしていた事件で東京地裁は賠償を認める一方で66%もの減額をして、堀江元社長をはじめとする旧経営陣に76億2800万円の損害賠償を命じました。

この二件の訴訟の最大の争点は、金商法21条の2の適用をめぐる問題です。

民法709条で損害賠償請求をすると、損害額の立証が非常に難しいという問題があるために、金商法21条の2では、株価の下落分を損害額とすることができるという特則が設けられています。

しかし、この規定の適用の要件として、虚偽記載があったとする公表が必要という規律になっています。

金融商品取引法
第21条の2(虚偽記載等のある書類の提出者の賠償責任)
第二十五条第一項各号(第五号及び第九号を除く。)に掲げる書類(以下この条において「書類」という。)のうちに、重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、当該書類の提出者は、当該書類が同項の規定により公衆の縦覧に供されている間に当該書類(同項第十二号に掲げる書類を除く。)の提出者又は当該書類(同号に掲げる書類に限る。)の提出者を親会社等(第二十四条の七第一項に規定する親会社等をいう。)とする者が発行者である有価証券を募集又は売出しによらないで取得した者に対し、第十九条第一項の規定の例により算出した額を超えない限度において、記載が虚偽であり、又は欠けていること(以下この条において「虚偽記載等」という。)により生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、当該有価証券を取得した者がその取得の際虚偽記載等を知つていたときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、当該書類の虚偽記載等の事実の公表がされたときは、当該虚偽記載等の事実の公表がされた日(以下この項において「公表日」という。)前一年以内に当該有価証券を取得し、当該公表日において引き続き当該有価証券を所有する者は、当該公表日前一月間の当該有価証券の市場価額(市場価額がないときは、処分推定価額。以下この項において同じ。)の平均額から当該公表日後一月間の当該有価証券の市場価額の平均額を控除した額を、当該書類の虚偽記載等により生じた損害の額とすることができる。
3 前項の「虚偽記載等の事実の公表」とは、当該書類の提出者又は当該提出者の業務若しくは財産に関し法令に基づく権限を有する者により、当該書類の虚偽記載等に係る記載すべき重要な事項又は誤解を生じさせないために必要な重要な事実について、第二十五条第一項の規定による公衆の縦覧その他の手段により、多数の者の知り得る状態に置く措置がとられたことをいう。
4 第二項の場合において、その賠償の責めに任ずべき者は、その請求権者が受けた損害の額の全部又は一部が、当該書類の虚偽記載等によつて生ずべき当該有価証券の値下り以外の事情により生じたことを証明したときは、その全部又は一部については、賠償の責めに任じない。
5 前項の場合を除くほか、第二項の場合において、その請求権者が受けた損害の全部又は一部が、当該書類の虚偽記載等によつて生ずべき当該有価証券の値下り以外の事情により生じたことが認められ、かつ、当該事情により生じた損害の性質上その額を証明することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、賠償の責めに任じない損害の額として相当な額の認定をすることができる。

ライブドア自身は正式には虚偽記載をしていたなどと公表をしていないために、適用が認められるのかが問題となったわけです。

上記の機関投資家ルートでは、検察官が報道機関に情報を流して報道がなされたときを公表と認定しました。

これは実質的な結論には納得が出来るものの、条文の文言上はかなり無理があるのですが、今回の個人投資家ルートでも、公表の日を「報道機関が東京地検の捜査状況を報じた06年1月18日」として、金商法の適用を肯定しました。金商法21条の2の「公表」に関しては先の裁判例と同様の判断といえます。

その代わりというわけではないでしょうが、大幅に減額して一部認容にとどめており、原告の多くは不服として控訴するとしています。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

2 thoughts on “東京地裁、個人投資家提起のライブドアの有価証券報告書の虚偽記載の損害賠償請求訴訟で一部認容

  1. 原告弁護団に油断はなかったのか?

    livedoor ニュース – ◎堀江元社長らに76億円賠償命令=粉飾決算で株下落−ライブドア株主訴訟 via kwout
    虚偽記載以外の理由で株価が暴落したことを司法が初めてみとめたのは、堀江元社長は有罪であるとしんじる人々、無罪であるとしんじる人々双方にとって想定外だったと……

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