私の出身会社の労働組合が、非正規雇用している社員を5年継続して雇用したなら正社員にするべきだということを団交で主張しているそうです。
このご時世、正社員からなる労働組合は正社員の労働条件を守ることにばかり熱心なのに非常に対照的な動きです。でもその動機はほめられたものではなく、複数組合が乱立している状況下ですので、より一層数を稼ぎたいだけでしょう。
組合間で競争をしているとそういう副次的な効果もあるということでユニオンショップ協定は必要ないのだということには援用できそうな一件です。特別の事情が作用しているので、大抵の会社には妥当しない話にとどまりますが。
政府の出している派遣法の改正案には含まれているのですが、今現在の派遣切りを抑制するのに現実的な対処を考えるなら直接雇用が必要になるそれまでの継続した雇用期間の長さを伸ばすか、直接雇用を強制するのをやめるしかないでしょう。
派遣社員として雇ってきて期間が経過すると正社員として雇わないといけないとなると、その人の能力如何の問題よりもコントロールがきかないで正社員の数だけ増えるところにアレルギーを感じて、必ずその期間より前に「切る」ということになると思います。
そういう気持ちになることはよく分かります。よって抜本的には派遣法を見直すこともあるのかもしれませんが、さしあたり迫ってくる派遣切りに対してはむしろ緩めておくことの方が雇用の数は稼げるのではないかと思います。
解雇できないとか色々と規制がかかってくると、まずもって雇わなくなりますから、規制強化をするのは逆効果になると思われます。
それでなくても解雇権濫用法理などから、解雇が厳しいために正社員を雇うことにアレルギーがあるので、これ以上厳しくしたら雇用の数が絞られて、仕事は増える一方でさらに過労死が増えるのではないでしょうか。