最高裁、日経新聞の従業員持株会で社員が譲渡する場合に額面で持株会が取得する仕組みを有効と判断


最近、このブログで従業員持株会について述べることがありますが、それとは性格の異なる従業員持株会について最高裁で判例が出ました。

すでに取り上げたことがありますが、新聞社は報道機関として公正中立な立場を保つため、特別な法律があります。

日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律

(株式の譲渡制限等)

第一条  一定の題号を用い時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社にあつては、定款をもつて、株式の譲受人を、その株式会社の事業に関係のある者に限ることができる。この場合には、株主が株式会社の事業に関係のない者であることとなつたときは、その株式を株式会社の事業に関係のある者に譲渡しなければならない旨をあわせて定めることができる。

これによって新聞社は株式の譲渡制限を設けることが出来、株主を一定のものに限定することができます。

実際には、従業員が在職中に従業員持株会を通じて株式を保有して、退職するときに指定されたものに譲渡するまたは持株会が取得するなどの扱いがされています。

その制度を有している日経で、元従業員が社外の人に日経の株式を譲渡したために問題となった事件で最高裁判決がありました。

最高裁判所第三小法廷平成21年02月17日判決 平成20(受)1207 株主権確認等,株主名簿名義書換等,株式保有確認等請求事件

結論は上記のような法律がある以上端的に、譲渡は無効ということで落ち着いています。

かなり特殊な世界なのであまり先例としての意味も内容に思えますが、最高裁は興味深いことを述べて手厚く理由を述べています。

「上告人X2は,上記のような本件株式譲渡ルールの内容を認識した上,自由意思により被上告人Y2から額面額で本件株式を買い受け,本件株式譲渡ルールに従う旨の本件合意をしたものであって,被上告会社の従業員等がY1株式を取得することを事実上強制されていたというような事情はうかがわれない。さらに,被上告会社が,多額の利益を計上しながら特段の事情もないのに一切配当を行うことなくこれをすべて会社内部に留保していたというような事情も見当たらない。」

この上記の言及は一般的な社員持株会の当否を考えるときにも重要な観点になる気がします。


About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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