村上ファンド事件控訴審判決について金商法157条違反の観点が示される


後で取り上げようと思ったのですが、いわゆる村上ファンド事件の控訴審判決が出ました。刑事事件であるわけですが、一審とは異なり執行猶予のついた有罪判決となりました。

実務家から問題視されていた「およそ実現可能性の高低を問わない」などのものすごい規範は改められたようなのですが、判決全文をまだ見ていないのでコメントは差し控えます。

さて、昨日の日経朝刊法務面でこの判決のまとめ記事が載ったのですが、その中で久保利弁護士など複数の実務家から、この判決はインサイダー取引以外の犯罪が成立することを念頭においているという指摘がされており、それは金商法157条違反であるという述べられています。

第157条(不正行為の禁止) 

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、不正の手段、計画又は技巧をすること。

二 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、重要な事項について虚偽の表示があり、又は誤解を生じさせないために必要な重要な事実の表示が欠けている文書その他の表示を使用して金銭その他の財産を取得すること。

三 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等を誘引する目的をもつて、虚偽の相場を利用すること。

この条文は、実務的には構成要件がとても耐えられないということでまず使われなかったのですが、村上ファンド事件など最近の金商法違反が問われた事例では、そもそも157条違反だったのではないかという活用論が広がっていました。

全文を見ていないのでなんともいえないのですが、それらの見解に密かに応えた内容になっているのかもしれません。だったら訴因変更と促すなどをしてもよいのではと思えるのですが、無罪にしているわけではないのでそこまではしなくてもいいかということなのでしょう。


About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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