契約書には契約終了事由を色々と盛り込むものですが、必ず盛り込まれる項目に、破産、会社更生、民事再生の申立てをした場合に無催告で解除できるという特約があります。ところが、この特約は当然ながら、破産法の潜脱になりますし、再生型の会社更生と民事再生にいたってはその目的達成を困難にすることになりかねません。そこでその有効性に疑義があったのですが、実務的には必ず盛り込むものになっています。会社更生については無効とした判例があるのですが、このたび、リース契約で民事再生の場合に当該特約を無効とした判例が出て、さらに判例によって判断された部分が広がりました。最高裁判所第三小法廷平成20年12月16日判決 平成19(受)1030 動産引渡等請求事件上告人はGEフィナンシャルサービス、被上告人は居酒屋チェーンの「北の家族」の運営会社です。最高裁は、「少なくとも,本件特約のうち,民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする部分は,民事再生手続の趣旨,目的に反するものとして無効と解するのが相当である。」という言い回しをしているのですが、理由を民事再生手続の趣旨、目的に反するというところに求めているので、射程は極めて広いと考えられます。実務的には盛り込むのが当然の条項ですが、法的には効力は怪しいということがより明らかになってきました。破産の場合についても、伊藤教授は無効とお書きになっておられますので、今回の判例とあわせて、倒産申立て解除特約の効力はないという見解がより有力となったといえるでしょう。