景気後退で大学生の内定取消が相次ぐ


景気後退の影響が雇用面に顕著に現れていますが、あまりに状況がひどいせいか、企業側の雇用調整に法的に問題があるものまで行われています。*************************************************************************************************非正規労働者、3万人が雇用喪失 採用内定取り消しも高水準 (日本経済新聞2008年11月28日)非正規労働者、3万人が雇用喪失 採用内定取り消しも高水準 景気後退による企業のリストラで、今年10月から来年3月までの間に失業したり、失業する見通しの派遣などの非正規労働者が全国で3万67人に上ることが28日、厚生労働省のまとめで分かった。採用内定を取り消された来春の学卒者も331人と2002年3月卒以来の高水準で、雇用環境の厳しさが一段と増している実態を裏付けた。 厚労省によると、非正規労働者に対するリストラは全国で477件。このうち契約期間満了や契約解除による派遣労働者のリストラが292件、1万9775人で最多。次いで期間工など契約社員が89件、5787人。工場などで働く請負労働者は36件、3191人だった。(略)*************************************************************************************************上記の引用では労働法的には、雇止めと内定取消の二つの事象が述べられています。雇止めも法的に問題となる点がありますが、ここでは内定取消について取り上げます。来るなといっている会社に対して「雇え、働かせろ」と主張するのは実際には難しい点がありますが、法的にどうかというと、内定の時点で労働契約は成立しています。この点については判例があります。最判昭和54年7月20日民集33巻5号582頁【大日本印刷事件】よって労働契約は内定の時点で成立しているので、内定取消は限定されます。労働契約が成立している以上、解雇権濫用法理の適用があるという考え方も論理的にはありうるところですが、判例は内定の状態を解約留保権付労働契約が成立しているとするので、内定に付属している解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と是認できる場合に限り許されるとしており、別の規範をたてています。しかし、内定についてくる解約事由として列挙されているものをそのまま是認するようなことをしていません。裁判例は、所定の事由よりも制限したり、規定が不十分なときは解釈で広げたり、どちらもしているのですが、一般的には内定取消には厳しい態度をとる傾向にあります。よって、現在発生している経済状況を理由としての内定取消も事案によっては違法と評価されるものもあると思われます。もっとも内定取消が違法と評価されても効果は損害賠償しかないので、いずれにせよ雇ってくれと求めることは出来ません。雇止めに比べると内定取消は違法になる可能性が高いので、法的には非常に危ないことだといわざるを得ません。そこまで深刻な経済状況なのだということもできましょうが、またもや若い世代にしわ寄せをしているわけで、会社の経営判断としても熟慮の結果なのか疑問なしとはしません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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