東京高裁、パワハラのストレスも一因となって脳梗塞になったとして労災を認定


セクハラは労働法の中ではすでに定着していますが、同じような雇用関係に起因する人格権に対する侵害で最近問題として浮上してきているのがパワハラです。
パワハラに関する裁判例も徐々に出てきていますが、12日に東京高裁で、パワハラによるストレスも一因となって脳梗塞を発症したと事実認定して、労災と認定する判断がでました。
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上司のパワハラ、脳梗塞の原因に 東京高裁が労災認定(日本経済新聞2008年11月12日)
 過重な業務と上司のパワーハラスメントのストレスで脳梗塞(こうそく)を発症したとして、ヤマト運輸子会社の元社員(故人)の妻が国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は12日、原告側の請求を棄却した1審判決を取り消し、労災と認めて休業補償給付を命じた。
 判決理由で南敏文裁判長は「元社員を起立させたまま2時間にわたって叱責(しっせき)した」などとして上司のパワハラを批判。叱責が月に2回以上あり、発症1カ月前の残業が約80時間に及んだことと併せ、「肉体的疲労だけでなく心理的負担も重なり脳梗塞を発症した。会社の業務が原因といえる」と労災と認めた。
(略)
 妻が労災認定を求め提訴したが、1審・東京地裁判決は「説教は上司の指導としての通常の範囲内」として請求を棄却した。(12日 21:01)
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労災給付を求めるものであり、パワハラを人格権侵害として行った者に対して損害賠償請求、使用者に対して使用者責任を追及する事件とは異なります。
叱責が行き過ぎるとパワハラになり、それが人格権侵害になるという一般論には一致があると思います。
よって、この裁判例の意義としては、どういう行為態様がパワハラに含まれるのかという事例的な判断を新たに加えたことのほかに、それがもとで病気になることとの因果関係を認めて、労災と認めたことに意義があるといえるでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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