最高裁、北海道新聞による参入妨害事件の公取委審判記録を全面開示


独禁法違反で有名な事件に北海道新聞が函館新聞に参入妨害をしたというものがあります。
この事件は排除勧告が出たのですが、その後、函館新聞が北海道新聞に損害賠償請求をするにあたり審判記録の開示を求めたところ、一部不開示となったため全面開示を求めて取消訴訟が提起されました。
4日に最高裁は、取消をした原審を支持、全面開示の判断が確定しました。
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道新の独禁法違反、審判記録の全面開示確定 最高裁(日本経済新聞2008年11月5日)
公正取引委員会が北海道新聞社(道新)を独占禁止法違反で処分した審判記録について、函館新聞社が開示を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は4日、公取委側の上告を退ける決定をした。函館新聞社への全面開示を命じた一、二審判決が確定した。
 公取委は1998年、新聞名の商標登録を巡り函館新聞社の参入を妨害したとして道新に排除勧告し、道新側が争ったため98―2000年に審判が実施された。函館新聞社は道新との損害賠償訴訟のため、公取委に審判記録の開示を求めたが一部不開示とされたため提訴していた。
 独禁法は、利害関係人であれば審判記録を閲覧・謄写できると規定。公取委は一部不開示の理由を「記録に事業の秘密が含まれ、閲覧を認めれば協力を得られなくなる」と主張したが、一、二審判決は「法律の規定のない開示制限は違法。支障があれば法改正すべきだ」と指摘した。(00:02)
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独禁法には利害関係人への事件記録の閲覧を認める規定があります。
第70条の15〔利害関係人の事件記録の閲覧・謄写等〕
利害関係人は、公正取引委員会に対し、審判手続が開始された後、事件記録の閲覧若しくは謄写又は排除措置命令書、課徴金納付命令書、審判開始決定書若しくは審決書の謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
この件では、利害関係人であることは当然であるので問題となっていません。
問題となっているのは、一部不開示がそもそも出来るのかという点です。
上記の条文から明らかなように、不開示できるのか規定されていません。
事由を列挙して不開示ができるようなつくりになっているならまだしも、何の定めもないなら一部不開示は無理であると判断したわけです。
会社法の株主名簿閲覧請求などや、行政が主体の場合で考えるなら情報公開法などの規定と比べることになりますが、これらではしっかりと不開示や閲覧させない場合の定めがあるので、それと比べると開示しないことを導くのは無理であるといえるでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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