レポ取引という取引があります。ファイナンス手法の一つなのですが、外国の国債などを一旦売却してキャッシュを得て、一定期間後に同じだけの国債が返還され、キャッシュは若干多めに返還するというものです。現物の米国債などがほしい者とキャッシュがほしい者との間のスワップ契約というわけです。住友信託銀行が債券を売却してキャッシュを得た側で取引をしたのですが、キャッシュの返還分が多いところに国税庁が目をつけて、これは利子であるとして、国債を担保に借金をしたものであると見解にたち追徴課税をしたことがありました。外国法人に利子を支払う場合には源泉徴収をしなければいけないので、その分を追徴課税されたわけです。これに対して、住友信託銀行が課税処分の取消を求めて提訴しまして、第一審控訴審とも請求が認容されて全面勝訴となっていました。28日に最高裁でもこの判断が維持されて、国の敗訴が確定しました。************************************************************************************************* 追徴課税は「違法」、国の敗訴確定 海外債券取引訴訟(日本経済新聞2008年10月29日) 海外での「レポ取引」と呼ばれる債券売買に追徴課税したのは違法として、住友信託銀行が国に約75億円の返還を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は28日、国に全額返還を命じた1、2審判決を支持し、国の上告を退ける決定をした。国の敗訴が確定した。レポ取引は有価証券を売却する際、一定期間後に一定額を上乗せして買い戻すことを条件とする取引。(07:00) ************************************************************************************************* まだ判決全文を見ていないので、最高裁がどう認定したのか(それとも判断をしていないのか)分からないのですが、控訴審までは、この取引は借り入れではなく、譲渡と買戻しであるとしていました。外形的な法形式を重視した判断だったわけですが、これが最高裁でも維持されたのではないかと思います。見解の相違から大型の租税訴訟がいくつか起きているのですが、その中の一つに決着がつきました。租税法は非常にホットな分野になっています。