【大和都市管財訴訟】控訴審も国の責任を認める


バブル期に盛んになった金融商品に抵当証券というものがあります。抵当証券とは抵当権付債権を証券にするものです。抵当権ですから不動産投資を証券化するようなものですので、当然ですがバブル崩壊とともに急速にしぼんでしまいました。しかし、これは景気のせいだけではなく、規制する法律に不備がかなりあったため、詐欺的な取引が行われていたという事情もありました。そのような抵当証券を舞台にした投資詐欺事件で著名なのが大和都市管財事件です。大和都市管財は破綻してしまい、被害者は国に対して国家賠償請求訴訟を提起しています。かなり不適切な規制権限の不行使があったことから、控訴審でも裁量権の逸脱と判断しました。************************************************************************************************* 大和都市管財訴訟、国に15億円の賠償命令 控訴審判決(日本経済新聞2008年9月26日) 破綻した抵当証券会社「大和都市管財」(大阪市)グループによる巨額詐欺事件を巡り、全国の被害者が国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は26日、国の責任を一審判決より広く認め、被害者627人に計約15億5800万円を支払うよう国に命じた。1997年12月の抵当証券業の登録更新について「近畿財務局による監督権限の恣意(しい)的不行使と言わざるを得ない」と指摘した。(略) 小田耕治裁判長は「近畿財務局は97年時点で大和都市管財が営業を続ければ被害者が多発する危険性が切迫すると認識していた」と認定。その上で「適切な調査をせず、あえて漫然と登録を更新した。過程は不可解というしかなく、裁量逸脱の程度は著しい」と厳しく指摘した。(26日 20:13) ************************************************************************************************* そもそも立法にかなり不備があり、十分な規制は難しかったのでが、事実としては、登録の更新という機会があり、実態を知っており権限発動できたのにあえてしなかったために、規制権限の不行使の問題となったものです。立法に不備があって、権限行使をしようにも出来なかったという事案なら結論は異なったでしょう。立法の不備はまず国家賠償の対象とならないのは判例の態度です。一方、規制権限の不行使も、宅建業法事件で最高裁は、「著しく不合理でない限り国家賠償法上違法の評価を受けるものではない」としており、中々認められにくいといえます。しかし、この事案では、かなり恣意的な動きがあったように伺われ、さすがに違法と判断された模様です。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)