アーバンコーポ株主、BNPパリバとのスワップ契約の開示をめぐり役員に賠償請求へ


民事再生法の適用を申請したアーバンコーポの株主が、適用申請時にはじめて開示された事項に関して金商法違反であるとして、役員に対して損害賠償請求を提起する方向であることが明らかになりました。************************************************************************************************* アーバンコーポ株主、損害賠償請求を検討 集団訴訟へ(日本経済新聞2008年9月21日) 8月に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイションの株主が、アーバンコーポの役員に対する損害賠償請求を検討していることが20日、明らかになった。破綻前の資金調達に関する不適切な情報開示が金融商品取引法違反などにあたるとして、民事上の責任を追及する。(略) ************************************************************************************************* 問題視された事項というのはBNPパリバに対する転換社債型新株予約権付社債を発行したとされたものの実はスワップ契約が別に締結されており、株価の推移によって発行額よりはるかに低い金額しか支払われなかったということです。これを金商法違反として問題視して、役員に対して損害賠償請求訴訟を提起するということだそうです。金商法違反というと、本件は何に該当するでしょうか。不実の継続開示ということになるかと思います。年度中のことなので、有価証券報告書のではなく、臨時報告書や半期報告書などの虚偽記載ということになります。条文としては24条の5になります。第24条の5(半期報告書及び臨時報告書の提出) 第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第二十三条の三第四項の規定により有価証券報告書を提出した会社を含む。第四項において同じ。)のうち、第二十四条の四の七第一項の規定により四半期報告書を提出しなければならない会社(同条第二項の規定により四半期報告書を提出した会社を含む。第三項において同じ。)以外の会社は、その事業年度が六月を超える場合には、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、当該事業年度が開始した日以後六月間の当該会社の属する企業集団及び当該会社の経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項を記載した報告書(以下「半期報告書」という。)を、当該期間経過後三月以内に、内閣総理大臣に提出しなければならない。4 第二十四条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社は、その会社が発行者である有価証券の募集又は売出しが外国において行われるとき、その他公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める場合に該当することとなつたときは、内閣府令で定めるところにより、その内容を記載した報告書(以下「臨時報告書」という。)を、遅滞なく、内閣総理大臣に提出しなければならない。5 第七条、第九条第一項及び第十条第一項の規定は半期報告書及び臨時報告書について、第二十二条の規定は半期報告書及び臨時報告書並びにこれらの訂正報告書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けている場合について、それぞれ準用する。1項で半期報告書、4項で臨時報告書について定めがあります。そして5項で、有価証券届出書の虚偽記載の場合の役員等に対する損害賠償責任の規定を準用しているので、提出会社の役員に対して賠償請求できるわけです。本件では、正確にはすべてを開示していなかったということなので、「重要な事実の記載がかけている場合」の方に該当すると思われます。21条の2より、提出会社に対する請求も出来るのですが、当の会社が倒れそうなので役員等に対する請求を選択しているのだと思われます。問題となるのは損害賠償額です。先日のライブドア事件判決でも適用された損害賠償額の推定規定が21条の2第2項にあります。これによると単純にいうと市場価格の下落分(前後一ヶ月の平均)が賠償額と推定されるのですが、これは会社に請求する場合の規定です。よって賠償額の立証まで必要となるところに難点があります。もっとも、黒沼教授は役員等に請求する場合にもこの規定の趣旨を尊重するべきとされています。21条の2については、先日の西武鉄道事件でも制定前の事件にもかかわらず、趣旨を汲んだような判示をしているので、柔軟な解釈は可能かもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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