鹿児島県酒造組合が検査体制の不備として国を提訴へ


事故米の騒ぎの拡大はおさまるところを知りませんが、事故米の行き先の一つに酒造メーカーがあったことから風評被害が生じているとして、鹿児島県酒造組合がそもそもの原因の三笠フーズとは別に国の検査体制に不備があり損害を被ったとして、国家賠償請求訴訟を提起する方針を決めました。
*************************************************************************************************
【事故米不正転売】鹿児島酒造組合が国提訴へ 「検査不備で風評被害」(MSN産経2008年9月17日)
三笠フーズによる汚染米転売問題をめぐり、鹿児島県酒造組合(本坊喜一郎会長、113社加盟)は、「農林水産省の検査体制の不備で汚染米が流通し風評被害を受けた」として、国に損害賠償を求める訴訟を起こす方針を決めた。三笠フーズに対する損害賠償請求訴訟も検討している。
(略)
組合の吉野馨専務理事は「検査日程を事前に三笠フーズに連絡するなど対応の甘さから農水省は不正転売を見抜けず、県の焼酎業界に混乱をもたらした」としている。
*************************************************************************************************
農水省のこれまでの行動が不適当であるのは一致するところでしょうが、法的につめて考えるとどうでしょうか。
国家賠償法のどの論点なのかと考えてみるとまず浮かぶのは、「規制権限の不行使」でしょうか。
正確には行使は一応しているので不十分行使とでもなりましょうか。そもそもどういった権限があるのか判然としない面もありますが。
規制権限の不行使は判例で、一般論としては、その不行使が著しく不合理でない限り国家賠償法上の違法とはならないとされています。
ただこの判決の後には、薬害や塵肺、水俣病の事例が続いており、一般論は維持しつつも、違法であると認めた例がいくつもあります。
通報があって情報を得ていたということを重視するなら、違法の方向に作用しそうです。
しかし、知見に照らして分かるかどうかが問題となるような薬害などと売却先が故意行為をしていたのでは異なってくるといえるかもしれません。
さて、これとは別に流通先の公表のほうでも訴訟になるかもしれません。
公表の先例は、カイワレ大根の事件があります。
これと比べるとどうでしょうか。
原因がよく分からないうちに公表したカイワレ大根と、端的に流通先を公表するのではやはり判断が変わってくるのではないでしょうか。
公表は新しい問題であまり議論されていないのでよく分からないことが多く難しいです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

One thought on “鹿児島県酒造組合が検査体制の不備として国を提訴へ

  1. 鹿児島県酒造組合が国を相手に訴訟をするということですが,どこの裁判所に訴えると予想されますか。やはり,東京地裁でしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)