最高裁、株主による帳簿閲覧請求権の拒絶事由に関して初判断


商法293条の6より総議決権の3%以上を有する株主は、会社に対して会計帳簿の閲覧を請求することができます。
しかし、239条の7に会社が拒絶できる事由が定められており、自由に閲覧できるものではありません。

そのため閲覧を要求して拒絶されて裁判になることがいくらかあったのですが、このたび最高裁で初判断が示されました。記事はこちら。判決はこちら

293条の7であげられている拒絶事由は、
一 株主が株主の権利の確保若は行使に関し調査を為す為に非ずして請求を為したるとき又は会社の業務の運営若は株主共同の利益を害する為請求を為したるとき。
二 株主が会社と競業を為す者なるとき、会社と競業を為す会社の社員、株主、取締役若は執行役なるとき又は会社と競業を為す者の為其の会社の株式を有する者なるとき。
三 株主が会計の帳簿及資料に係る前条第一項の閲覧若は謄写に依り知得したる事実を利益を得て他に通報する為請求したるとき又は請求の日の前二年内に於て其の会社若は他の会社の会計の帳簿及資料に係る同項の閲覧若は謄写に依り知得したる事実を利益を得て他に通報したることある者なるとき。
(平成一三法一二八本号改正)
四 株主が不適当なる時に会計の帳簿及資料に係る前条第一項の閲覧又は謄写の請求を為したるとき。

の4つで、これだけではなんとも判断のしようがないのですが、下級審判決は、濫用を懸念してかなり制限的でした。

上記からわかるように、一号がわりと包括的でネックとなっていました。

これまで下級審で、拒絶事由にあたらず、認められたというケースは、会社の不正を是正するためであり、会社側から機密漏洩の恐れについての疎明がない場合などだったのですが、今回の判決で新たな類型が加わりました。

それは、株式の譲渡制限のある株式会社において,株式を他に譲渡しようとする株主が,株式の適正な価格を算定する目的でした場合は、特段の事情がない限り、一号には当たらないというものです。

ただ、これでもあくまで一類型が加わったに過ぎず、そのほかの場合は一号とにらめっこをして訴訟をするということになるのでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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