コナカ店長が労働審判で「管理職でない」とする審判 超勤手当ての支払いについては訴訟で判断へ


いわゆる「名ばかり管理職」と法的に認定され使用者に残業代の支払義務が生じる事例は次々とでていますが、新設された個別労働関係の紛争処理制度である労働審判でも判断がなされています。その中で、名ばかり管理職であることは認定したものの、支払われるべき残業代については審理が十分でないとして別途訴訟とすることになったという事例が報道されました。制度論として興味深い点があるので取り上げます。************************************************************************************************* コナカ労働審判:2店長は「管理職でない」−−横浜地裁判断(毎日新聞2008年8月23日) 紳士服大手コナカ(本社・横浜市)の店長2人が、店長としての権限や出退勤の自由などがない「名ばかり管理職」として扱われ、本来受け取れるはずの残業代をもらえなかったとして、同社に計1284万円の支払いを求めた労働審判で、横浜地裁は22日、2人が管理職ではないと認める判断を示した。不払い残業については「3回の審議では残業時間の算定に至らなかった」として判断を避けた。このため、正式な裁判に移行する。(略) ************************************************************************************************* 労働審判は原則3回の審理で結論を出すという迅速な手続ですので、細かい事実認定が必要な残業代の計算までは無理というのはその通りだと思います。訴訟でやるべきというのもその通りだと思われます。ただ、どういうルートで訴訟に行くのか、いまいち分からない点があります。労働審判に相応しくないと判断されたら、審判を打ち切れるのですが、本件では「名ばかり管理職である」と判断する審判はしているのでこのルートではないようです。すると、異議申し立てをして訴訟に移行するルートでしょうか。すると、審判は失効してしまいます。審判の判断に異議申し立てがなく確定すれば、裁判上の若いと同一の効力で既判力が生じますので、それを踏まえて残業代についての訴訟は別途提起するということなのかもしれません。もっとも、使用者側が「名ばかり管理職」の認定に不服があれば、訴訟に移行できるのは当然で、その場合は失効してしまいます。よって審判に判断してもらったことをうまく訴訟でそのまま活かせるかというと確実とはいえないでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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