NTT配転訴訟、司法判断が分かれる事態に


日経の紙面で言及されるNTTがかかわっている訴訟がいくつかあります。
年金減額をめぐる行政訴訟をこのブログでも取り上げていますが、もう一つの大きなものがNTTが行った大リストラをめぐる事件です。
リストラとっても解雇などがあるわけではなく、早期退職と子会社での再雇用で給料は減額という内容で一貫していました。
固定電話のNTT東西では、保守を地域ごとに設立するメンテナンス会社に移してしまうという形でこれを行ったのですが、これに不服で応じない社員もでました。しかし、メンテナンスの仕事はアウトソーシングでなくなってしまうので営業職に配転するということになり、しかも営業拠点を集約したため、従前の勤務地から非常に離れたところに、全く違う畑の仕事をしなくてはいけない配転を命じられることになりました。
この配転が無効であるとして争われている訴訟が各地で起きており、北海道では配転を無効、東京では請求を棄却した第一審判決が出ており、事実審では判断が分かれる事態になっています。
このたび、静岡地裁でも判決があり、これは配転は有効であると判断しました。
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遠隔地配転、静岡地裁は賠償認めず NTTグループ訴訟(日本経済新聞2008年8月15日)
リストラで遠隔地に配置転換させられたのは違法として、NTT西日本社員ら3人が、配転無効の確認と1人300万円の慰謝料を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(竹内民生裁判長)は15日、社員らの請求を退けた。
 判決などよると、NTT西は、51歳以上の一部社員をいったん退職させ、賃金が2、3割低くなる関連会社に異動させるリストラ計画を実施した。
 静岡県内で設備保守などに従事していた3人はこれを拒否したため、2002年に営業職として名古屋へ配転された。
(略)
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配転の考え方は、労働契約上、配転命令権があるか、あるとしても濫用ではないかという二段階の検討が必要となります。
濫用ではないかの判断における判例は有名な東亜ペイント事件で、これによると、「企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性を肯定すべきである」としており、業務上の必要性があり不当な目的がない場合は濫用ではないことになります。
かなり広く必要性を肯定してくるので、本件のリストラによるような場合でも、肯定できるかもしれません。
しかし、技術系社員を営業に回すというのはいくらなんでも、労働契約上そこまで許容していたかは怪しいので、配転命令権があるかの点、または配転命令権はあるとしてもかなりの異動を強いられる点もあわせて考えて濫用と評価することもできるかもしれません。よって、判断が分かれているのだと思われます。
しかし、東亜ペイント事件は配転に応じないので懲戒解雇してしまった事例でした。
これに対して本件は雇用を守ることはできており、しかも以前の待遇のままがよいと要求していることになります。
労使関係は互譲であることを考えるとこれで濫用としてしまうと影響が大きすぎて困る点があると思われます。
ちなみにこのリストラ計画は、最大労組であるNTT労組とは合意をしていました。
その点からも合理性がある方向に作用するのではないかと思われます。
もっとも、この点は全然確認していないので仮定での言説でしかありませんが、NTTには複数の労働組合がありますので、原告は、少数組合の組合員である可能性もあります。その場合はそれらの組合の団結権は平等に保障されなければなりませんから、多数組合と合意していることに拘束されるはずもなく、多数組合が合意するということは合理的な内容であると推認されるというくらいの意味でしかありません。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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