原油高による受注減を理由として東芝機械が派遣社員を解雇


原油高による影響が雇用にも及んだということで、日経に取り上げられた事件がありました。
以下のような内容です。
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原油高で東芝機械が派遣社員を解雇 4人が労働審判申し立て(日本経済新聞2008年8月14日)
原油高による受注減などを理由に派遣社員を突然解雇したのは不当として、東芝機械(静岡県沼津市)の相模工場(神奈川県座間市)に勤務していた派遣社員4人が14日、東芝機械と派遣会社サン・エンジニアリング(群馬県太田市)に、地位確認などを求める労働審判を横浜地裁に申し立てた。
 申立書などによると、4人は、東京都や神奈川県に住む40―50代の男性。東芝機械の面接を受けた後、それぞれ2004―07年から働き始めたが、サン社は今年6月、7月末で東芝機械から解雇されると通告した。「実態は東芝機械に雇用されていた」と主張し「解雇に合理的な理由はなく、解雇権の乱用」と訴えている。
(略)
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派遣社員の解雇や労働審判申立ては日常的にかなり起きていますので、わざわざ日経が取り上げたのは、原油高の影響が雇用に及んできているという一点に着目したのだと思われます。
しかし、上記の事件には労働法的に興味深いのではないかという点がありますので、このブログでも取り上げます。
着目したいのは、派遣であるのに東芝との直接の契約があったと主張していることです。
何を意図しているかというと、直接雇用とすることで有期契約の雇止めの法理に持ち込むということだと思います。
すると、判例に照らしますと、東芝柳町工場事件と日立メディコ事件から、正社員ほどではありませんが、解雇権濫用の法理が適用されますので、総合判断により、解雇が無効になることが期待できます。
更新への期待が生じていたかなどの問題になりますが、ただの派遣となりますと、派遣元と派遣先の契約になってしまいますので、争う余地がなくなってしまうわけです。
さて、派遣なのに直接契約という構成を主張するのは、先日判決が出た松下の事件が影響していると思われます。
この事件でも派遣であるのに、松下に直接の雇用されていたというかなり大胆な判断をしました。
この判断に力づけられている点があるのではないかと思われます。
もっとも解釈論としては、当事者である派遣先には全く持って直接雇用している意思はないでしょうから、無理があるとされています。荒木教授もそう仰っていました。
労働契約法でも労働契約の成立には、労働と賃金の対価性が当然の前提とされているので、この点からも無理があります。
派遣法に該当するものを守っていないときは使用者になるというのはヨーロッパの立法例なのですが、日本では規定がない以上、そう解するのは無理ではないかという見解の方が有力なようです。
松下の事件も先行きは厳しい可能性があります。
本件では、事実が細かく触れられていないのでなんともいえませんが、直接雇用されていたことが認められるのは難しいことであるのは確かだと思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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