MBOで経営再建中のすかいらーく、創業家出身の社長を解任


迅速な経営ができるということでMBOを行って経営を立て直して再上場を目指していた外食大手のすかいらーくですが、計画通りに行っていないということで、現在の出資者であるファンド野村プリンシパル・ファイナンスと英CVCキャピタルパートナーズが創業家出身の横川竟社長を臨時株主総会で解任しました。その後の取締役会で常務執行役員の谷真氏が代表取締役社長に就任しました。すかいらーくのプレスリリース しかし、この記事の見出しは法的には不正確になっております。 というのは、株主総会では取締役を解任をするのであり、代表取締役社長の解職は取締役会で行うことである点です。実質だけ捉えて、出資者が社長を解任したということにはなりますが、法的には微妙な違いがあるわけです。非上場になっているので、株主総会で代表取締役も選解任するようにしてもいいかもしれませんが、再上場を目指しているので、そのようなことはしないのが普通でしょう。事実、後任の代表取締役は取締役会で選任されているので、取締役会の権限のままなのだと思われます。よって、ファンドは臨時株主総会では横川氏を取締役から解任したというのが正確なところではないでしょうか。株主総会に先立って取締役会を開いて横川氏を代表取締役から解職をしたのかは定かではないのですが、ファンドから多数の取締役を送り込んでいるので、そちらも可能でした。よって両者をあわせて実質的にはファンドが社長を解任したといえるわけです。代表取締役をその地位から追う場合は、害を除く必要があるような切迫している状況である場合が多いせいか、取締役を解任するまでにまず代表取締役を解職することが多いですが、本件ではそういう緊張した場合ではないので、取締役の解任でもって当然に代表取締役の地位を失ったのかもしれません。その点は事実関係が分からないのでなんともいえません。上記、プレスリリースではこのような錯綜していることをまとめて書いてしまっています。そのため次元の異なることをまとめてしまっている感じがあります。なお、社長解任には銀行団の了承が必要である契約になっていると報道がありました。銀行団は株主ではありませんから全くもって債権的効力しかない特約ということになります。MBOで一旦上場を取りやめてしっかりと経営再建をするのだとしている例はいくらかありますが、同床異夢であるといういうことになる例だと思います。MBOで経営者は自分の会社に戻ったと錯覚することがあると日経では書かれていましたが、そこまでひどい認識なのかについては疑問があるものの、上場を止めたからといってもともと株主を気にして経営をしていたかというとそうでもないので、そんなに劇的に経営の舵取りが分かるというのも眉唾です。そうなると出資者であるファンドとは利害が対立してしまうというのはあることだと思います。もっとも外食でも特にファミレスは非常に厳しい環境にあるので、容易でないということもあるかと思われます。いずれにせよMBOが厳しい結果になった例として記録に残るのではないでしょうか。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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