米SEC、緊急措置として空売り規制を行う


有価証券を保有していないのに売付けをすることを空売りといいます。
相場操縦につながりうるので、規制されるのが専らで、日本でも金商法162条で禁止されています。
もっとも政令に従えばよいので、信用取引などは許容されます。

金融商品取引法
第162条(空売り及び逆指値注文の禁止)
何人も、政令で定めるところに違反して、次に掲げる行為をしてはならない。
一 有価証券を有しないで若しくは有価証券を借り入れて(これらに準ずる場合として政令で定める場合を含む。)その売付けをすること又は当該売付けの委託等若しくは受託等をすること。
二 有価証券の相場が委託当時の相場より騰貴して自己の指値以上となつたときには直ちにその買付けをし、又は有価証券の相場が委託当時の相場より下落して自己の指値以下となつたときには直ちにその売付けをすべき旨の委託等をすること。
2 前項第二号の規定は、第二条第二十一項第二号及び第三号に規定する取引について準用する。この場合において、同項第二号の取引にあつては前項第二号中「有価証券」とあるのは「約定数値」と、「騰貴して」とあるのは「上昇して」と、「その買付けをし」とあるのは「現実数値が約定数値を上回つた場合に金銭を受領する立場の当事者となる取引をし」と、「下落して」とあるのは「低下して」と、「その売付けをすべき」とあるのは「現実数値が約定数値を下回つた場合に金銭を受領する立場の当事者となる取引をすべき」と、同条第二十一項第三号の取引にあつては同号中「有価証券」とあるのは「オプション」と、「その買付けをし」とあるのは「オプションを取得する立場の当事者となり」と、「その売付けをすべき」とあるのは「オプションを付与する立場の当事者となるべき」と読み替えるものとする。

金融商品取引法施行令
第26条の2(空売りに該当する場合)
法第百六十二条第一項第一号に規定する政令で定める場合は、その有している有価証券(借り入れているものを除く。)の売付け後遅滞なく当該有価証券を提供できることが明らかでない場合とする。

第26条の3(空売りを行う場合の明示及び確認)
金融商品取引所の会員等は、当該金融商品取引所の開設する取引所金融商品市場においてする自己の計算による有価証券の売付け若しくは売付けの受託(有価証券等清算取次ぎの受託を除く。)をした有価証券の売付け又は有価証券等清算取次ぎの委託(売付けの委託に限る。以下この項において「清算取次ぎ委託」という。)について、当該金融商品取引所に対し、これらの有価証券の売付け又は清算取次ぎ委託が空売り(次の各号のいずれかに該当する売付け又は清算取次ぎ委託をいう。以下同じ。)であるか否かの別を明らかにしなければならない。
一 有価証券を有しないで又は有価証券を借り入れてする有価証券の売付け(有価証券等清算取次ぎを除く。)
二 前条に規定する場合における有価証券の売付け(有価証券等清算取次ぎを除く。)
三 有価証券を有しないで又は有価証券を借り入れてする清算取次ぎ委託
四 清算取次ぎ委託後遅滞なく有価証券を提供できることが明らかでなく行う清算取次ぎ委託
2 金融商品取引所の会員等は、当該金融商品取引所の開設する取引所金融商品市場においてする有価証券の売付けの受託(有価証券等清算取次ぎの受託を除く。)について、当該有価証券の売付けの委託者に対し、当該有価証券の売付けが空売りであるか否かの別を確認しなければならない。
3 取引所金融商品市場においてする有価証券の売付けの委託の取次ぎを引き受けた者は、当該委託の取次ぎの申込者に対し、当該有価証券の売付けが空売りであるか否かの別を確認しなければならない。
4 取引所金融商品市場においてする有価証券の売付けの委託(有価証券等清算取次ぎの委託を除く。)又は委託の取次ぎの申込者は、その委託又は委託の取次ぎの申込みの相手方に対し、当該有価証券の売付けが空売りであるか否かの別を明らかにしなければならない。
5 前各項の規定は、法第二条第二十一項第一号に掲げる取引その他の内閣府令で定める取引については、適用しない。
6 前各項の規定は、認可金融商品取引業協会の開設する店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の売付けについて準用する。この場合において、前項中「法第二条第二十一項第一号に掲げる取引その他の内閣府令」とあるのは、「内閣府令」と読み替えるものとする。

第26条の4(空売りを行う場合の価格)
金融商品取引所の会員等は、当該金融商品取引所の開設する取引所金融商品市場において自己の計算による空売り又は受託をした空売りを行おうとするときは、当該空売りに係る有価証券につき当該金融商品取引所が当該空売りの直近に公表した当該取引所金融商品市場における価格(売買価格の決定方法が競売買の方法以外の方法であつて内閣府令で定めるものである場合については、内閣府令で定める価格。以下この条において「直近公表価格」という。)以下の価格において当該空売りを行つてはならない。ただし、当該金融商品取引所が当該直近公表価格の直近に公表した当該取引所金融商品市場における当該直近公表価格と異なる価格(売買価格の決定方法が競売買の方法以外の方法であつて内閣府令で定めるものである場合については、内閣府令で定める価格。次項において同じ。)を当該直近公表価格が上回る場合に当該直近公表価格において行う当該空売りについては、この限りでない。
2 取引所金融商品市場においてする空売りの委託又は委託の取次ぎの申込みをする者は、当該空売りの委託又は委託の取次ぎの申込みの相手方に対し、当該空売りに係る有価証券につき直近公表価格以下の価格において当該空売りを行うよう指示をしてはならない。ただし、当該金融商品取引所が当該直近公表価格の直近に公表した当該取引所金融商品市場における当該直近公表価格と異なる価格を当該直近公表価格が上回る場合に当該直近公表価格において行う当該空売りの指示については、この限りでない。
3 前二項の場合において、空売りが当該空売りに係る有価証券の配当落ち又は権利落ち後に行われる場合で、当該空売りに係る有価証券につき直近公表価格が配当落ち又は権利落ち前であるときは、前二項に規定する価格は、当該空売りに係る有価証券につき直近公表価格から配当又は権利の価格を控除して計算する。
4 第一項及び第二項の規定は、法第二条第二十一項第一号に掲げる取引その他の内閣府令で定める取引については、適用しない。
5 前各項の規定は、認可金融商品取引
業協会の開設する店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の売付けについて準用する。この場合において、前項中「法第二条第二十一項第一号に掲げる取引その他の内閣府令」とあるのは、「内閣府令」と読み替えるものとする。

アメリカでは、異なっており、少し前から空売り規制を排しています。
実証的な研究があるらしくて、空売り規制をしなくても問題ないことが示されたとかいうことが廃止後のリポートで言われていたのですが、昨今のサブプライムの余波でファニメイなどに対して暫定的に空売り規制を行うことになりました。

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SEC、空売り規制に動く(日本経済新聞2008年7月20日)

ワシントン(ウォール・ストリート・ジャーナル)米証券取引委員会(SEC)は15日、銀行・証券株の空売りが金融セクターの苦痛を増幅させている可能性があるとの懸念が広がっているのに対応し、空売りを制限するための異例の措置を発表した。

 SECは劇的な緊急命令により、連邦抵当金庫(ファニーメイ)(NYSE:FNM)、連邦住宅金融抵当金庫(フレディマック)(NYSE:FRE)の政府系住宅金融機関(GSE)大手のほか、ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(NYSE:LEH)、モルガン・スタンレー(NYSE:MS)、メリルリンチ(NYSE:MER)などの証券大手を含む17の金融機関銘柄についても、不適切な株式の空売り阻止に向けて直ちに動くとした。

 この計画は、21日から30日間に限って実施する見込み。しかしSECは、今回の新規定を国内で取引される全株式に拡大適用するか否かも検討し始めている。空売りを抑制しようとする近年の当局の動きとしては、今回のものは最も大規模な取り組みの1つと言える。
(略)
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緊急事態に陥っているための措置なのですが、今後も続く可能性もあるようで、そうなると空売り規制の復活ということになるかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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