株券電子化にむけた端株制度の整理手法まとめ


株券電子化に伴って端株を維持できなくなるため、対処が今年の株主総会でテーマとなりました。
このブログでも実際に報道された例を取り上げて検討しましたが、ちょうどよくまとまった記事が商事法務1836号58頁に掲載されましたので、これを引用しつつ再度まとめます。
ちなみに当該記事は商事法務の毎号最終ページの「スクランブル」欄です。
地道に買い増しによって端株を解消するのでなければ、対処方法は大きく分けて2種類、実現方法に着目すると3種類考えられます。
1、単元株制度を導入する
1-1 株式分割をする
1-2 整備法88条に基づき端数の無償割当をする
2、定款を変更して端株制度を廃止する
1-1を採用した代表例が、NTT、JR東日本、1-2の例が、みずほフィナンシャルグループです。
1-1は、小数点以下を整数にするだけですので、それだけなら株主総会決議がいらないところなのですが、従前と同じ権利を実現するためには、単元未満株の買い増し制度を同時に採用する必要があり、そのためには定款変更が必要ということになり、結果として株主総会の議案となってしまいました。
1-2は整備法で、種類株主総会の決議がいらないことが定められています。よって、優先株式を発行しており、種類株主が多い金融機関が選択したと思われます。
2を採用する会社はあまりないのではないかと思っていたのですが、実際にはNTTドコモとKDDIが採用しました。
この場合、端的に換価されてしまいますので、大量だと株価に影響がでるおそれがあります。
また、租税法の規定を細かくは確認はしていないのですが、キャピタルゲインがあると株主は課税されてしまうことになりそうです。
よって、想定される問題が生じないだろうと考えられる企業で採用されたのだと思われます。
端株制度の整理は性格上、過渡的なもので、株券電子化が終わってしまえば、意味がなくなってしまいますので、記録しておく意味しかありません。
しかし、様々な方法を用意して、企業が自分にあったものを選択すればよいという制度設計がいかにも自由度が増したことを標榜している会社法らしいなと思う次第です。 
 

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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