ドイツの自動車メーカー・フォルクスワーゲンには設立の経緯から第2位株主のニーダーザクセン州に拒否権があり、これをめぐって法的問題となっていることは以前からお伝えしていますが、この問題にさらに動きがありました。
この度、欧州委員会はドイツ政府が進めているフォルクスワーゲン法の改正を認めないと公表しました。
この内容は、拒否権の内容を20%とするもので、結果としてニーダーザクセン州の拒否権は温存されることになります。
*************************************************************************************************
VW法、独の改正認めず 欧州委(日本経済新聞2008年6月8日)
【フランクフルト=後藤未知夫】ドイツ政府が進めるフォルクスワーゲン(VW)法の改正について、欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、法改正を認めない方針を決め、法的手続きを始めると発表した。EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所が改めてEUの法令に違反すると判断すれば独政府は再考を迫られる。
VWを敵対的買収から守るVW法を巡っては、株主総会での拒否権行使に必要な出資比率を20%に据え置き、第2位株主のニーダーザクセン州(出資比率20%)の特権を守る改正案を独政府がまとめ、5月に閣議決定していた。欧州司法裁判所は昨年10月、VW法が資本移動の自由を認めるEUの法令に違反するとの判決を出していた。
*************************************************************************************************
EU官僚たちの資本自由を守ろうという感じを受けないでもないですが、フォルクスワーゲンの筆頭株主はポルシェですので、単純な市場主義とも思えません。
もっとも最近のEUは、競争法を見れば明らかですが法的規律に積極的ですのでその一環であるのは確かでしょう。