本日付の日経朝刊の記事からアデランスの取締役選任議案否決に関して新たに得られた情報がありますので記録の観点からまとめておこうと思います。
・事前投票集計の時点で否決は決していた。
日経の記事によりますと、事前投票の集計の時点で否決は明らかになっており、総会でのやり取りは極めて簡単に終わったのが実際だったようです。そのためあまりのあっけなさに株主は可決されたのは否決されたのか分からなかったくらいだったようです。
事前投票で否決が明らかになったということから言って、スティールなどの外国人機関投資家以外にも一般投資家も反対票を投じたように思われます。
外国人株主がこぞって事前投票をして反対票を投じれば、株主総会で議決権を投じる株主はどんなにがんばっても全員にはならないことから、事前投票だけでぎりぎり過半数を超して決めてしまうこともできますが、実際には一般投資家も反対票を投じたのでしょう。
経営への不満はそれだけ大きかったということになりましょう。
・1日から2日前には否決濃厚に気づいていた
理由はいまいち分からないのですが、否決されそうであることは事前投票をあけるより前に分かっていたようです。国内機関投資家などもあたりを入れてみたということでしょうか。
どうやら経営陣は楽観していたために、働きかけがお留守になり、それによって反対票が増えた要素があるようです。
このブログでも取り上げましたが、総会直前に議決権行使助言会社から賛成の呼びかけを受けたりしたのも楽観に拍車をかけたかもしれません。
日経の書き振りから行くと、楽観のそもそもの原因は去年に買収防衛策の導入が賛成多数で認められたところにあるようです。
会社法の話題とは異なりますが、これによってある種の株主総会決議の結果では株価が急伸することがわかりました。事前に決議の行方が判明するとインサイダー取引でいうところの重要事実に該当しそうです。
今後、どうなるでしょうか。
総会をもう一度開かなければなりませんが、まずは候補を決めねばなりません。
よって会社はスティールと交渉して賛成してもらえる候補を決めるほかないのではないでしょうか。
スティールが先に一時取締役の選任を求めて、そのものを本格的に候補にすることも考えられないでもないですが、すると送り込んできた人物に会社をとられるイメージがついてしまいますから、合意の下で候補を決めるということになるのではないでしょうか。
いずれにせよ、経営改革をする人物にしないことには株主の意思を無視することになりますから、これまでの経営陣が総退陣することも十分考えられるでしょう。
買収防衛一辺倒や外国の投資ファンド悪玉論が盛んに見えた昨今ですが、それらを超えて株主が意思を示したということになります。
もしかしたら転機になるかもしれません。