最高裁、虚偽の目論見書使用の賠償責任の主体は発行者・証券会社などに限られないと判示


少しというか、3ヶ月前の最高裁判例ですが取り上げます。
証券取引法の規定で金融商品取引法にそのまま引き継がれたものは沢山ありますが、その中に虚偽の目論見書を使用してそれによって有価証券を取得した者に損害が生じた場合の賠償責任の規定があります。
証券取引法
【不実の目論見書等の使用者の賠償責任】
第17条
重要な事項について虚偽の表示があり、又は表示すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の表示が欠けている目論見書その他の表示を使用して有価証券を取得させた者は、表示が虚偽であり、又は欠けていることを知らないで当該有価証券を取得した者が受けた損害を賠償する責に任ずる。但し、賠償の責に任ずべき者が、表示が虚偽であり、又は欠けていることを知らず、且つ、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかつたことを証明したときは、この限りでない。
金融商品取引法
第17条(虚偽記載のある目論見書等を使用した者の賠償責任)
第四条第一項本文若しくは第二項本文の規定の適用を受ける有価証券又は既に開示された有価証券の募集又は売出しについて、重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な事実の記載が欠けている第十三条第一項の目論見書又は重要な事項について虚偽の表示若しくは誤解を生ずるような表示があり、若しくは誤解を生じさせないために必要な事実の表示が欠けている資料を使用して有価証券を取得させた者は、記載が虚偽であり、若しくは欠けていること又は表示が虚偽であり、若しくは誤解を生ずるような表示であり、若しくは表示が欠けていることを知らないで当該有価証券を取得した者が受けた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、賠償の責めに任ずべき者が、記載が虚偽であり、若しくは欠けていること又は表示が虚偽であり、若しくは誤解を生ずるような表示であることを知らず、かつ、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかつたことを証明したときは、この限りでない。
捕捉されている目論見書の欠陥の類型が増えていますが、規定の趣旨は基本的には同じです。
この規定に関して、賠償責任を負う主体は誰かということが問題となった事件で最高裁判決が出ました。
最高裁判所第二小法廷平成20年02月15日判決 平成18(受)2084 損害賠償請求事件
この事件は、目論見書を持って売りに来たのが、発行者や募集売出しをしている人や引き受け証券会社ではなかったところ、その目論見書に虚偽があったため損害を被ったというものです。
原審では、請求が棄却されており、その理由として、「法17条の責任主体である「有価証券を取得させた者」とは,その法文の趣旨から,発行者,有価証券の募集若しくは売出しをする者,引受人若しくは証券会社等又はこれと同視できる者(以下,併せて「発行者等」という。)に限られると解すべきである。」としています。
上記の文言から見て分かるように、目論見書を使った人であるという点以外に特に主体の制限はないように見えます。
しかし、証券取引法や金融商品取引法の本を読むと、17条によって証券会社は自分が作ったわけではない目論見書で責任を負うのでデュー・ディリジェンスをしっかりやることになると書かれています。
デュー・ディリジェンスのきっかけを与えるのはこの規定とされているわけです。
このような点を考慮して、自分が作ったわけでもないものに関しても責任を負うだけの調査能力を有するものだけに責任主体を限定しようという考えが原審の判断だと思われます。
しかし、最高裁は、そういう考慮はせずに文言どおりに解して、目論見書を使用したものはすべて17条の責任主体になるとしました。
責任主体を限定した規定は13条や18条2項などにあり、それと比較して読むと主体を文言上限定していないことを重視せざるを得ず、最高裁の見解のように解するほかないと思われます。
すると、証券会社以外は能力を有していませんから目論見書を使って勧誘をすることなどできないということになりますが、逆に言うと、証券会社とそうでない者が勧誘する場合で購入者の保護がえらく変わってしまうので妥当ではないでしょう。
これは証券取引法の判例ですが、金商法でもそのまま妥当するものになると思われます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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