くすのきの下で


公立高校でやる勉強なんて大学入試には全然役に立たない(というか歯が立たない)ものですが、そんな埼玉県立川越高校の授業でも東大に入ってからも役に立ったものが一つだけあります。

それが日本史の授業でした。
とはいってもかなり癖のある話で、理系クラスで行われた日本史の授業です。
実は私は高校までは理系だったのです。

川越高校は生徒の能力を度外視してリベラルアーツ教育を施すため、文系も理系も受験科目以外の科目を多くやる羽目になります。
私が在学していたところは、理系も文系もほぼすべての科目をやりました。当然、どれも中途半端に終わりました。

そういうわけで、3年生の受験直前の理系クラスでも日本史が行われました。
これがとんでもないハードな内容で、日本史の先生は全力で向かってきまして、理系クラスの連中は危うく卒業できなくなるところまで追い詰められる人がでてしまう始末でした。
内容が振るっていまして、家制度から日本の歴史を見るというもので、天皇家、将軍家など家計図をたどりながら、とてつもなく細かく歴史を追うのです。
家というのがどういうものか考えたことがなかったので非常に衝撃でした。
室町幕府と江戸幕府のすべての将軍についてとてつもなく詳しくなりました。

暗記で済ませていた歴史的事実の経緯を知ったのでとても役にはたったんですが、いかんせん理系クラスですから、大半の人には苦役以外の何者でもなかったと思います。

最後のテストではそれまでに出題した問題を再度出題するということになり、私のテストの答案が学年中に出回ってしまいました。
友人が答え合わせに使いたいというので貸したら、どんどん複写されて、私が一回も話したことのない人まで私のテストの答案を持っていました。
さすがに気持ち悪かったです。

今から考えるとこれが頒布権ができた理由ということかと感じますが…。
まあ、どうみても消尽していますけどね。

さて、とてつもなく難しい日本史は、東大法学部に入ってから、北岡先生の日本政治外交史に大変役に立ちました。
日本の歴史は教科書的知識では、不可解な動きをしていることがあります。
幕末の動きなんて事実だけ追っていると、はっきりいって集団ヒステリーにしかみえませんが、どういう事情があってああいう動きになるのかを細かく知っていたのは大変意味がありました。

川越高校の勉強で東大に入ってから役にたったのはこれだけでした。
あとは全部、予備校で勉強しました。
その日本史も、先生が転勤してしまったのでもう川越高校では行われていません。

川越高校の名誉のためにいいますと、受験と直結しない、まさに「生きる力」と呼ぶしかないようなところの力はつきます。
そういう意味では非常に意味のある経験をしましたね。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

2 thoughts on “くすのきの下で

  1. そのとおりです。あれはある意味東大でも役に立ちました。今どこの高校にいるのかわかりませんけど、相変わらず黒板に家計図描いて授業しているんですかね。

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