株券電子化に伴う端株対策と株式制度


このところ、来年1月に迫った株券電子化に伴って、端株を解消する必要が生じた企業が対策をとる動きを何件かお伝えしました。
具体的には
株式分割と単元株制度の採用を同時に行う(JR東日本、NTT)
株式無償割当と単元株制度の採用を行う(みずほ)
の二種類を取り上げました。
よく似ている制度が並行して同じ目的に利用されるといういい機会なので、両制度についてまとめておこうかと思います。
株式分割をすると当然、株式数が増えてしまいますが、すると授権株式数を超えてしまう恐れがあります。
本来なら定款変更がいるところですが、これでは機動性を欠くということで会社法184条2項より、そのときは株主総会決議によらずに定款変更をすることができます。しかし、この規定は株主の利益を害することがない株式分割だからこそみとめているので、そうでない場合にはできないことにしています。
それが括弧書きの中ですが、種類株を発行している場合です。
この場合は、普通株主と種類株主の利害が対立するため、本来の定款変更手続をしなさいということになっています。
第184条(効力の発生等)
基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(種類株式発行会社にあっては、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている前条第二項第三号の種類の種類株主)は、同項第二号の日に、基準日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式。以下この項において同じ。)の数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数の株式を取得する。
2 株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第二項第二号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。
無償割当と株式分割には他にも違いがあります。
無償割当の場合は、別の種類の株式を割り当てることが可能です。
今回みずほは、種類株には同じ種類株をあてるとしているのでこの点は活かされていません。
もう一つの違いは、自己株式をどうするかという点です。
自己株式も分割されますが、無償割当は会社法186条2項より自己株式にはできません。
第186条(株式無償割当てに関する事項の決定)
株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
二 当該株式無償割当てがその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類
2 前項第一号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の株式を割り当てることを内容とするものでなければならない。
3 第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
さらに無償割当では自己株式を持ってあてることができます。
株式分割では既存の株式が分割されるだけですので、自己株式を充当するということにはなりません。
もっともみずほは自己株式取得を結構行っていますが、消却をすぐにしているのでこれは本件とは直接関係はありません。
以上から、みずほが株式分割ではなく無償割当を選択したのは、みずほは優先株を発行していることが、作用しているのでしょう。
NTTは普通株式しか発行していませんのでこの点が顕著な違いです。
みずほが採用するのは、会社法施行関係法律整備法88条で用意されたスキームなのですが、これによる場合なら種類株主総会を要さないことが定められています。
整備法
第88条(種類株式発行会社における端株の単元未満株式への移行)
旧株式会社(一株に満たない端数を端株として端株原簿に記載し、又は記録しない定款の定めがあるものを除く。)がこの法律の施行の際現に二以上の種類の株式を発行している場合における新株式会社は、次項から第八項までに定めるところにより、株主及び第八十六条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる端株(以下この条において単に「端株」という。)の端株主(以下この条において単に「端株主」という。)に対して新たに払込みをさせないでそれぞれ当該新株式会社の株式及び一株に満たない株式の端数(以下この条において単に「端数」という。)の割当てをし、その端株の全部を株式とすることができる。
2 前項の新株式会社は、同項の規定による株式及び端数の割当て(以下この条において「端数等無償割当て」という。)をしようとするときは、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主及び端株主に割り当てる株式及び端数(当該株主及び端株主が有する株式及び端株と同一の種類の株式及び端数に限る。)の数の算出方法
二 当該端数等無償割当てがその効力を生ずる日(以下この条において「効力発生日」という。)
3 前項第一号の算定方法は、当該新株式会社の株主及び端株主の有する株式及び端株の数に応じて同号の株式及び端数を割り当てることを内容とするものでなければならない。
4 第二項の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
5 第一項の新株式会社は、端数等無償割当てと同時に次に掲げる定款の変更を行う場合には、当該端数等無償割当て及び当該定款の変更についての種類株主総会の決議を要しない。
一 全部の種類の株式について、端数等無償割当てによって株主及び端株主に割り当てる株式及び端数の総数の効力発生日の前日における発行済株式の総数に対する割合に一を加えた数を単元株式数とする旨の定款の変更
二 効力発生日における発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数をそれぞれその日の前日の発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数に前号の単元株式数を乗じて得た数とする定款の変更
三 ある種類の株式の内容として剰余金の配当、残余財産の分配その他の権利利益について一定の金額又は数量をもって定めているときは、当該一定の金額又は数量を第一号の単元株式数で除して得た金額又は数量に変更する定款の変更
6 第二項第一号の株式及び端数の割当てを受けた株主及び端株主は、効力発生日に、同号の株式及び端数を取得する。
7 第一項の新株式会社は、効力発生日後遅滞なく、株主(端数等無償割当てにより株主となった者を含む。)及び登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた株式及び端数の数を通知しなければならない。
8 第八十六条第二項の規定は、第一項の新株式会社が端数等無償割当て及び第五項第一号に掲げる定款の変更をした場合について準用する。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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