政府、租税特別措置法成立後に交際費の損金不参入を遡及適用する方針を固める


ガソリン暫定税率が切れたことばかりが注目される租税特別措置法の期限切れですが、この租税特別措置法によって大企業の交際費損金不参入が定められていたため(租税特別措置法61条の4)、期限が切れたいた間は交際費を損金参入できるのかという問題が浮上しています。

この問題について政府は、遡及適用することに決め、結局、交際費は従前どおりに不参入ということにするつもりであることが明らかになりました。

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交際費、損金算入認めず・政府方針、大企業の混乱回避(日本経済新聞2008年4月24日)

政府は大企業の交際費の損金算入を当面認めない方針だ。「大企業の交際費の損金不算入」は3月末にいったん失効した租税特別措置法のうちの一つ。同法の改正案が衆院で再可決されれば、失効期間が決算期の一部に含まれる3月期決算の企業でも算入を認めずに不算入を適用する。課税の公平性を確保し、企業の混乱を抑える。

 租税特別措置法は、資本金1億円超の企業が交際費を損金に算入することを認めていない。この特例はガソリン税の暫定税率と同じように3月末でいったん期限切れしており、事業年度の一部に空白ができている企業も少なくない。このため企業の一部からは「大企業も損金算入できるのではないか」との見方が出ていた。 (09:49)
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課税の公平性と企業の混乱を抑えるということが理由として挙げられていますが、混乱するのは誰か、公平性といっても何と何の公平性かということはさておき、これらの理由から遡及立法を肯定できるでしょうか。

租税法規は刑罰法規ではないので、遡及立法が許されないわけではありませんが、不利益遡及の場合は、遡及が予定されていて、納税者にも予測されていたことなどの要件が満たされることが必要であるとされています。

リリースがぎりぎりになってしまい、この点に疑念が生じてしまった平成16年税制改正の遡及適用は今でも司法の場で争われています。
詳しくは以下のエントリーをご覧ください。
東京地裁、平成16年税制改正の遡及適用を認める

本件では、制度が一旦廃止になったもののそのうち復活することは予想されましたが、切れていた間も遡及適用されることは予測されたでしょうか。
そもそも切れることを前提としてのリリースが政府からはありませんでしたから、遡及が予定されていることすら不明でした。

これは上記のメルクマールから行くと非常に難しいものがある感じがします。
もともと不参入なのだから予測されてしかるべきであるという実質的なところに理由を求めるしかないのではないかと思われます。
それでも司法で判断するとなったらどうでしょうか。厳しいものがあるかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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