不動産会社の原弘産が、マンション管理会社日本ハウズイングに対して事業提携を呼びかけ、公開買付を行おうとしていますが、これに対する日本ハウズイングの反応が芳しくなく定時株主総会で株主の意見を聞く機会を逃してしまうとして、株主提案権の行使と委任状を勧誘するための株主名簿閲覧請求を行ったことを明らかにしました。
株主提案権行使に関するリリース
株主名簿閲覧請求に関するリリース
これだけだと、最近、増えてきたケースだなという感じですが、本件では原弘産本体ではなく子会社の投資会社が日本ハウズイングの株主であるため、会社法125条3項3号が定める閲覧を拒絶できる事由「三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき」との関係を考えてみたいと思います。
親会社との関係で考えるなら競合関係はありそうですし、今していなくても不動産で共通していることから「近い将来」に競合関係になることはありそうです。
会計帳簿閲覧請求の事件ですが、楽天対TBS事件を見ると肯定されそうです。
さて、ここで問題は、投資会社が挟まっていることをどう見るかですが、上記楽天事件でもTBSの株主は楽天メディアインベストメントという子会社でした。
そこで東京高裁はグループ全体を一体と見て競合関係の判断を行っています。
会計帳簿と株主名簿では違いますが、規定はほとんど同じであり、同種の規律となっています。すると、仮に拒絶するなら、競合関係にあるとして拒絶できる可能性もあると考えることもできそうです。
あくまで「仮に」拒絶が認められるかの可能性を考えてみようというだけの話ですのでご注意ください。