SNSサービスの最大手mixiが利用規約を改定することを表明して4月1日からの施行を前に周知を図っていますが、その内容のうち著作権と著作者人格権に関する内容が物議をかもしています。
その内容は要するに、会員が書き込んだ内容や投稿した画像・動画のの著作権は運営会社に移転して、会員は著作者人格権の不行使を約束するというもので、mixiに勝手に出版されてしまうのではないかという懸念があちこちから出ています。
著作権の移転や著作者人格権の不行使は、組合を作って作成する映画などでよく使われている手法ですが、その有効性は実ははっきりしません。
会社が集まって締結しているため、今後の事業の関係もありますので、あまり問題になることがないからではないかと思いますが、法的に考えると、全て有効かというとかなり怪しいといわざるを得ません。
著作者人格権の包括的な不行使特約は多分無効ではないでしょうか。
権利ごとに放棄できるものと放棄できないものがあると思われます。
その峻別は多分人格的権利に近いか遠いかで決することになるかと思います。
よって同一性保持権は、名誉声望にかかわらない部分は不行使特約を結べるが、名誉を害するような改変まで受忍することはないと解することになるでしょう。
さて、著作権ビジネスの他にネット関係でもデジタル化したものに手を入れられないと当初の現状を保持することを義務付けられて困るのでこういった特約を結ぶことがあるのは結構実例があります。
よってmixiの説明も全く理由のないことではないですが、それなら必要な範囲があるでしょうから、包括的に特約を結ぶのはかなり広すぎるのではないかと思われます。
著作権ビジネスでも制限的に解されるのは、著作者人格権がまさに名誉などとかかわるものであるためなので、mixiなどの無料サービスだからといって別に解することにはならないと思われます。
すると、この規約は、実体法的に有効性を考えると微妙なのではないでしょうか。