最高裁、未成年後見人の祖母が孫の預金を横領した事例で親族間の犯罪に関する特例の適用を否定


刑法244条1項2項に、親族間で窃盗を行った場合、刑の免除がされる場合(配偶者、直系血族または同居の親族)と親告罪(それ以外の親族)とする場合があることが定められています。
(この規定の内容が、不整合であることは従来から指摘のあるところですが、ここではそれには触れません)
これは窃盗以外にも準用されるので、親族間での財産犯は処罰されないことが広く定められています。
しかし、このたび、祖母が未成年後見人という業務上横領の身分を有していて、未成年被後見人である孫の銀行預金を横領したというケースで最高裁は、244条1項の適用の余地はないとして、業務上横領の成立を認めました。
最高裁判所第一小法廷平成20年02月18日 平成19(あ)1230 業務上横領被告事件
244条の性格については、従来から、政策説、違法減少説、責任減少説がありますが、判例はかなり昔ですが、政策説にたつことを明らかにしています。上記判例でもそれを引用しています。
刑法は家族の問題に入らずというのが、244条の趣旨ですが、類型的に違法性が少ないとか責任が少ないといえるかは疑問であり、政策的と解するほかないのではないでしょうか。
そういう意味では、従来の判例の確認も含めているので短い判示ですが、重要な意義があるのではないかと思います。
ちなみに本件では保母が孫が遺産相続した預金1500万円を着服したものでした。
孫の福祉に反することおびただしく、許されないという判断は普通の感情としては当然でしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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