円谷プロ、ウルトラマンの海外における権利をめぐってタイ最高裁で勝訴 日本国内と判断が分れる結果に


[関連したBlog]

特撮作品の代名詞であるウルトラマンは、日本の円谷プロによる作品ですが、意外なことに海外での権利は、円谷プロの創始者である円谷英二氏から譲受けたと主張するタイ人実業家がいて紛争となっています。

実際に、タイ版ウルトラマンが存在しており(これはウルトラマン自体は出てきますが、オリジナルであるタイのウルトラマンも登場しており極めて怪しげで不可解な作品です・しかしこれを円谷とタイ人実業家が共同制作したことについては争いはありません)、実際にそのタイ人実業家となんらかの関係は有ったのですが、海外での営業権を一括してあげてしまうとはなんとも不可解な話で紛争となるのも当然かと思われます。

ところが、日本の司法の場では、ウルトラマンの海外における権利は、件のタイ人にあるとする判断が確定しています。
意外に思われるかも知れませんが、大変長い争いの果てに、円谷プロが件の実業家に渡したとされる書面が真正とされてしまったためです。

このため、中国での展開ではタイ側の企業チャイヨーとバンダイが両方ともウルトラマンを展開させるという異常事態になっており、チャイヨーの方が法的には有利な判断を得得たこともあります。

そこで円谷プロは、タイの裁判所で、ウルトラマンの権利の帰属をめぐる訴訟を再度起こして、このたびタイの最高裁判所で勝訴しました。

*************************************************************************************************
ウルトラマン作品、海外利用権は円谷プロに…タイ最高裁(読売新聞2008年2月6日)

 【バンコク=田原徳容】人気特撮作品「ウルトラマン」シリーズを制作した円谷プロダクション(東京)が、シリーズの海外利用権を主張するタイの映画制作会社のソンポテ会長らを相手取り、利用契約の無効などを求めた訴訟で、タイ最高裁は5日、円谷プロの著作権を全面的に認める判決を言い渡した。

 最高裁は「契約書は偽造で無効」と判断、会長らに対し、1070万バーツ(約3470万円)の賠償金の支払いとウルトラマンの商業利用停止を命じた。

 最高裁は、会長側の「ウルトラマンの共同創作者」との主張を退け、1976年に会長が円谷プロと締結したとされる初期9作品の譲渡などを記した契約書も、手書きであることなどを理由に偽造と断定した。

 「ウルトラマン」シリーズの利用権をめぐる両者の裁判は他に数十件あり、日本では、会長の利用権を認める判決が確定したケースもある。

 円谷プロの親会社で映像制作大手の「ティー・ワイ・オー(TYO)」は、「他の訴訟も、今回の勝訴で解決へ向かうと考えている」とのコメントを発表した。
*************************************************************************************************

さて、この逆転の理由は、日本では真正とされた書面が、全く逆に評価されたために起こったものです。

裁判所によって判断が異なってしまうとはおかしな話だと思われるかも知れませんが、司法権とは主権の範囲を超えることはないので、ばらばらになるのは当たり前なのです。

民事訴訟法228条4項に文書の成立の真正についての推定があり、判例法理から二段の推定が認められており、真正な押印があると成立の真正が推定されるのが日本の証拠法ですが、この件では、円谷エンタープライズの社印が押されており、しかもどうやら本物のようであるようです。
そのほかもろもろの細かい事情から契約したことと符合したため、譲渡は有効と判断されたのでした。

こうして状況を改善できた円谷プロですが、この判決の効力もタイ国内でしかないわけで、問題の抜本的解決になるかはまだ分らないかもしれません。

最後に付言しておきますが、権利が争われているのは、件の契約をしたとされるときより前なので、昔のウルトラマンのシリーズになります。
最近作成された新しいシリーズは当然、入っていません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)