東京高裁、香港と日本を往来している武富士元会長長男への課税を是認


租税法の講義でちょっと取り上げた事件の高裁判決が出ましたので、取り上げておきます。

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武富士元会長長男への1330億円の追徴課税は適法・東京高裁(日本経済新聞2008年1月24日)

消費者金融「武富士」の武井保雄元会長(故人)夫妻から海外法人株の生前贈与を受け、約1600億円の申告漏れを指摘された長男の俊樹氏(42)が、国税当局に追徴課税取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が23日、東京高裁であった。柳田幸三裁判長は「海外滞在は課税回避が目的。生活の本拠は国内にあり、課税は適法」と判断し、1330億円の追徴課税を認めなかった1審判決を取り消し、国税側逆転勝訴とした。

 原告側は判決を不服として、上告する方針。

 贈与当時の相続税法では、海外に住む日本人が海外資産の贈与を受けた場合、国内で課税できなかった。このため、日本と香港を往復していた俊樹氏の実質的な住所が海外か国内かが最大の争点になった。
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法的な争点は、住所とは何かです。
住所が香港にあるのか、それとも日本にあるのかが問題となっており、事実認定の問題となっています。

一審と控訴審で全く逆になっているのは、事実認定の違いということになります。

控訴審は、財産が日本にある点や課税されないように滞在を操作した点を重視したようですが、この事案では、税金よりも別に海外に行く理由があり、そのついでに税金も安くなるようにしたというケースのようです。

ここをどう評価するかですので、これは最高裁に行くのは当然でしょう。

覆る可能性はそれ相応にあるのではないかと中里教授は仰っていました。

このケースの問題が、租税法の基礎理論のどこに関係するかですが、租税法と私法の関係についての問題となります。

国税の通達によりますと、課税関係を決める上での住所は、租税法独自の観点から決めてよいのだというように思えてくるのですが、租税法の世界で言うと租税法独自の意味を持った概念である固有概念は、所得と資産だけなので、住所も民法に従うということになるのでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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