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古い名画の廉価版DVDの販売が目立つようになりましたが、これらは、著作権が切れた事を捉えて、安価に提供が可能となったために生まれてきたものです。
しかし、廉価版が発売されているものでも、作品によっては、著作権法改正との兼ね合いで本当に著作権が切れているのか自体がそもそも問題となっています。
それらのうち「シェーン」と「ローマの休日」が争いが司法の場に持ち込まれており、著作権法改正の適用範囲などについて裁判例の蓄積がなされる事態になりました。
問題は単純で、映画の著作権の保護期間を50年から70年に延長した改正著作権法の施行日が平成16年1月1日なのですが、ちょうど平成15年12月31日の深夜零時に「ローマの休日」と「シェーン」の保護期間が満了していることになるため、延長されたのかそれともぎりぎり適用されないのかが問題となってしまったものです。
映画「シェーン」に関しては、著作権者であるパラマウントが損害賠償と差止めの訴訟を起こしており、今回、最高裁に至るまで争われました。
これまでの経緯ですが、東京地裁は、改正著作権法の適用はないと判断しました。
東京地方裁判所平成18年10月06日判決
理由付けの詳細はリンク先のエントリーをご覧ください。
控訴を受けた知財高裁も同様の理由付けから控訴を棄却しています。
知的財産高等裁判所平成19年3月29日判決
これに対して最高裁は、弁論を開かず判決期日を今月18日としたことが明らかになり、シェーンの著作権は消滅したとする判断が確定することになる模様です。
理由について判示はするのではないかと思いますが、改正著作権法の適用関係についての判断は他の作品にも同様に妥当しますので、意義のあるものになるかと思われます。
著作権法に関するコンプライアンス-映画「シェーン」の著作権保護期間
映画『シェーン』につき、パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーション と東北新社が、DVD製造販売会社などを相手どり、格安DVD販売の差し止めや損害賠償を求めた訴訟につき、最高裁判所が判決を下した。1953(昭和28)年に公開された映画の著作権の保護期間が、* 改正前の著作権法によって50年間とされるのか、* 改正後の著作権法を適用して70年間となるのか、が争点。…