防衛省の守屋前次官夫妻、収賄罪で逮捕


とうとう防衛省前次官の守屋氏とその妻が逮捕されました。

特捜事件なので勾留する場所が検察にはないため、最初から東京拘置所に勾留されています。

さてマスコミでも話題になったのが、妻まで逮捕されてしまった件です。
一応、「身分なき共犯」の説明が、テレビでも新聞でもしていましたが、刑法総論の基本事項なので取り上げておきます。

収賄罪は、当然ですが公務員にしか成立しません。
(※本件では、ただの収賄ではなく、受託収賄などの加重類型である可能性もありますが、報道からでは判然としないので、収賄とだけしておきます)
公務の適正が保護法益だからですが、すると妻や親戚をつかって迂回して利益を受けるという場合が考えられます。
すると、潜脱になってしまうので、刑法には第三者供賄というのを設けており、収賄と同じ法定刑としています。

さて、本件では、妻まで逮捕している以上、収賄とその共同正犯としているのだと思われます。
第三者供賄では、公務員を逮捕するところですが、妻は迂回ルートとして使われたわけではなく積極的に関与していたからだと思います。

さて、非身分者である妻にもなぜ収賄が成立するかというと、刑法65条をみなくてはいけません。

刑法
第65条(身分犯の共犯)
犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。
2 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。

この条文をどう解するかは議論が非常であるところですが、西田説に依拠して、第1項は違法身分の連帯を、第2項は責任身分の個別化を定めたものと解するのが妥当でしょう。

要するに、身分によって違法性が基礎付けられる犯罪に関与したときは、違法性を発生させているので、非身分者もその身分犯の共犯の成立を認めるというわけです。
逆に、特別な地位にいることにより、注意義務などが重く課されて加重されている犯罪類型では、非身分者にもそれを課するのは不等ですので、通常類型があるならそちら、ないなら犯罪は成立しないと考えるわけです。

収賄は、公務員であるために特に重くされている類のものではなく、公務の適正を害しするのは公務員だけであるから定められているので、違法身分であるとすることで争いはありません。
よって、妻にも収賄罪の共犯を認めうるわけです。

なお刑事手続き上の予想ですが、公判前整理手続をするのではないかと山室判事が予想されていました。
事実関係が錯綜しているからそれもあるかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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