即決裁判施行1年、被告人の人数ベースで5%を占める結果に


平成16年の刑事訴訟法改正で、刑事裁判手続に即決裁判手続というのが誕生しています。
施行してちょうど一年たちましたが、この間、一年間の全被告人のうち5%がこの手続によったことが明らかになりました。
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即決裁判、初年は5% 不法残留や薬物など迅速化へ一歩(朝日新聞2007年11月19日)
刑事裁判の「即決裁判」手続きが昨年10月に導入されてから1年間で、全被告の5%にあたる4000人余がこの制度に基づいて判決を受けたことが、最高裁のまとめで分かった。比較的軽い罪で起訴された被告が罪を認めた時、初公判で一気に判決まで言い渡す仕組みの導入で、「時間がかかり過ぎる」と批判されがちだった刑事裁判のスピードアップが進んだ形だ。最高裁は、さらに運用が軌道に乗れば10%程度まで適用が拡大すると想定している。
 即決裁判は、重大事件と軽微な事件の審理にメリハリをつけ、裁判員制度が導入されることによる検察側や弁護側、裁判所の負担を軽くする目的もある。司法制度改革の一環だ。
 最高裁によると、今年9月までの1年間に全国の地裁・簡裁で一審判決を言い渡された被告は8万3863人(死亡による公訴棄却なども含む)。このうち検察側が即決裁判の適用を申し立てたのは4210人で、裁判所による適用を受けて判決を迎えたのは4179人だった。
 適用には、本人のほか弁護人の同意が必要だ。即決裁判の場合は懲役・禁固刑には必ず執行猶予が付くことから、裁判所が「実刑が相当」などの理由で認めなかったケースもあるという。
 判決を迎えた被告の主な罪名をみると、(1)出入国管理法違反1536人(2)覚せい剤取締法違反1126人(3)窃盗744人。不法残留や薬物犯罪(初犯)、万引きなどで起訴された被告が多い。
(略)
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この即決裁判ですが、最近では、話題となった光GENJIの元メンバー赤坂晃被告もこれによって有罪判決を受けました。
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覚せい剤所持 赤坂晃被告に執行猶予判決 即決裁判適用(東京新聞2007年11月21日)
路上で覚せい剤を所持していたとして、覚せい剤取締法違反罪に問われた人気アイドルグループ「光GENJI」の元メンバーで俳優赤坂晃被告(34)に、東京地裁(佐々木直人裁判官)は二十一日、「私生活上の悩みを紛らわすため安易に覚せい剤を使用した」として、懲役一年六月、執行猶予三年(求刑懲役一年六月)の判決を言い渡した。
 この日は初公判が行われ、赤坂被告は「間違いありません」と起訴事実を認めた。佐々木裁判官は検察側の申し立てに基づき、一日で公判が終結する「即決裁判」を適用した。
(略)
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即決裁判手続は刑事訴訟法350条の2以降に定められており、簡単に言ってしまうと被告人が有罪を認めている場合に、簡単な手続ですませてしまい、できる限り即日に手続を終了させるというものです。
なんでも適用されるかというとそうではなく、死刑、無期、短期一年以上の懲役もしくは禁錮に当たる事件は除かれます。よって軽微な事件に限られるわけです。
証拠調べにおいて伝聞法則が排除されるなど、かなり思い切った手続になっています。
その代わり、必ず執行猶予がつきます。
すると、下手をすると、さっさと身柄を解放してほしいために有罪を認めるということが起きかねないことが想像できます。
即決裁判にするかには被告人(条文上は被疑者)の同意がいりますが、勾留したまま公判に行くことは結構多いので、解放してもらいたいと思う人もでるかもしれません。
山室判事にかかると、こういった最近の刑訴法改正は拙速だということになりますが、この辺の世間的な評価と専門家の評価はかなり違いそうな気がします。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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