デジタル放送のコピーワンス緩和で、権利者団体が私的録音録画補償金の対象化を求め家電メーカーと対立


デジタルチューナー登載のHDDレコーダーをお持ちの方はご存知だと思いますが、デジタル放送は、一回しか録画できず、HDDからDVDなどの媒体に移すと、もとのHDD内のデータは消えるというものすごい仕様になっています。

この非常に厳格な制限は、評判が悪く、世界的にみてもやりすぎであるため、緩和する方向に話が進み、録画と複製を合計して10の複製物を認める方向に仕様が変更されることになりました。
この新しい仕様は、ダビング10と呼ばれています。

しかし、ここに来て、権利者団体が、コピーを認めると、著作権が侵害されるとして、HDDレコーダーなどのデジタル放送を録画できる家電を私的録音録画補償金制度の対象に含めるように主張をはじめ、家電メーカーの業界団体は、これに反対してむしろ私的録音録画補償金の廃止を主張して対立しています。

コピーワンスの元ではコピーができようがないということから、現行は補償金の対象となってはいません。またパソコンもTVチューナーを搭載しているものも増えていますが、対象とはなっていません。

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コピーワンス緩和「補償金」めぐり対立 著作権者団体VS家電メーカー(MSN産経ニュース2007年11月9日)

デジタル放送の番組録画を現行の1回限り(コピーワンス)から、録画1回と複製9回まで認める新制度「ダビング10」へ移行することに絡み、著作権者の団体と、録画機メーカーの対立が表面化した。著作権者側は、録画で受ける不利益を補う「私的録画補償金」の対象機器を拡大し、権利者への補償が増えるようにするべきだと主張。反対にメーカー側は、録画補償金そのものが不要として撤廃を提案した。

 「コピーワンス緩和の議論の中では、彼らは補償金制度について発言しなかった。なぜ今になって廃止というのか。一貫性がなく、何を考えているのかわからない」

 日本映画製作者連盟、実演家著作隣接権センターなど87団体は9日、東京都内で記者会見を開き、メーカー団体の電子情報技術産業協会(JEITA)を厳しく非難。録画補償金への見解をただす公開質問状を突きつけた。映像制作者や出演者、制作会社らは、適正な対価(著作権料や補償金)を得られなければ創作活動は衰退する-と危機感を募らせている。

 しかし現状では、録画機の主流となったHDDレコーダー(ハードディスク録画機)やパソコンは対象外で、補償金総額は昨年の21億円から今年は16億円へ減少する。著作権者側はこれらを対象に加えるよう、著作権法を検討する文化審議会に求めた。

 一方、JEITAも10月に記者会見し、「対象機器の拡大を前提とするのは問題」と反論している。「違法コピー防止技術が徹底されれば補償金は不要」と主張し、23年の地上放送完全デジタル化を機に録画補償金を撤廃するよう文化審議会に提言した。コピー制限と補償金は、消費者に二重の負担になる-との立場だ。
(略)
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権利者団体の主張は、要するにコピーできるようになるから補償が必要というものです。
これに対してメーカー側の主張は、完全にコピーできるわけではなく、制限はあるのだから、それに加えて補償金を課すと二重の負担となるというものです。

家電メーカの主張からいくならば、軽減した補償金にでもすればバランスは取れるのかもしれませんが、現行の算定方法は機器や媒体別に決しているため、緩和した補償金なんて観念できないでしょうから無理がありそうです。

とにかくダビング10が先行することになるようなので、議論は当面続くことになると思いますが、補償金制度はその経緯からあまり磐石なものではないので、また迷走しがちな議論が再開されたような感じを受けます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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