M&A助言会社のGCAが、アメリカのM&A助言に特化したブティックと呼ばれる投資銀行であるサヴィアンを買収すると報道がなされました。
現金の支払による買収ではなく、自社株式を用いたものなるため、日本企業が外国企業を買収する初の三角合併であると報道されています。
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M&A助言のGCA、米投資銀を「三角合併」・日本企業で初活用(日本経済新聞2007年11月1日)
東証マザーズ上場のM&A(合併・買収)助言会社、GCAホールディングス(東京・千代田)と米投資銀行サヴィアン(カリフォルニア州)は31日、経営統合することで基本合意した。GCAは自社株を元手に株式交換で企業を買収する「三角合併」方式で、サヴィアンを事実上、吸収合併する。昨年に三角合併が解禁されて以来、日本企業が自社株を使って海外企業を買収する初めてのケースとなる。
(略)
GCAが持ち株会社GCAサヴィアングループを設立し、サヴィアンが日本に設立した親会社のサヴィアン株式会社を株式交換で買収する。GCAサヴィアングループは引き続き東証マザーズに上場する。
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上記報道だけでは、情報が不十分ですが、本紙面の記事もあわせて参照したところ、これは三角合併ではないと判断できました。
GCAのリリースによると、共同株式移転を使うとのことで、サヴィアンが株式移転方式で日本に親会社であるサヴィアン株式会社を作り、サヴィアンの株主をサヴィアン株式会社の株主とした上で、現在のGCAホールディングスサヴィアン株式会社が共同株式移転を行い、新たに共通の持株会社GCAサヴィアングループ株式会社を設けるという流れになります。
(正しくは、現在のサヴィアンの株主をどのようにサヴィアン株式会社の株主に移すのかは言及がありませんが、株式移転ということだろうと思います)
よって、子会社を設立してそこに親会社株式を流し込むわけではありませんので、三角合併ではないことになります。
だから報道では「」をつけているのでしょう。
そもそも合併すらありません。
ただ報道でも指摘されている通り、日本企業が外国の企業を買収するのに現金を使わないケースであるは確かなので、重要な事例ではあると思われます。