日本国内の音楽楽曲の多くの著作権管理を受託しているJASRACは、動画配信サイトであるユーチューブ上でのJASRAC管理の楽曲の使用を容認することになりました。
これだけ聞くと、違法投稿が非常に多いネットにある動画配信サイトの法的状況が変わるように思えますが、実際には意味が異なり、JASRACに管理を委託しているもとの権利者が投稿するのを容認するにとどめるものです。
ユーチューブを運営するグーグルがJASRACの示していた公式利用の前提条件の原則受け入れを決めたことに対応するものです。
今後は、権利者がユーチューブに公式な動画をアップロードすることが想定されています。
またニコニコ動画でも同様の利用が容認される模様です。
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ユーチューブとJASRAC、楽曲利用に向け協議へ(朝日新聞2007年10月30日)
動画投稿サイトを運営する米ユーチューブと日本音楽著作権協会(JASRAC)は、JASRACが著作権を管理する楽曲を使った動画投稿を行うため、協議に入ることで合意した。放送局やレコード会社がユーチューブ上でキャンペーンを展開することなどを想定している。
ユーチューブには、著作権保有者の許諾を得ていない投稿動画が多数あり、権利侵害を防ぐ手段を講じるようJASRACが求めていた。ユーチューブがJASRACに技術的な防止手段をとるなどと伝えたため、両者が利用に向けた協議入りで合意した。今後、権利侵害防止策の具体的な方法や利用料金の徴収方法などを検討する。
(略)
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要するに、著作権管理を委託しているため、権利者単独ではなく、JASRACが話し合いをして一歩進んだということです。
現状の個人投稿の違法状態が解消されるという類の話し合いではありません。
というのは、JASRACは動画投稿(共有)サービスにおける利用許諾条件についてで、権利者の個別の許諾を動画共有サービスでの、利用許諾の条件としており、現状での個人投稿にかかる楽曲はほとんど該当しないであろうからです。
建前と現実の乖離はまだまだ続くということになりそうです。