フォルクスワーゲン買収を防ぐドイツの国内法について、欧州司法裁判所がEU法令違反の判決


ドイツの自動車メーカー・フォルクスワーゲンは、もともとは国営であったという歴史的経緯から、買収されるのを防止するドイツの国内法によって特殊な規制がされています。
これは、持株比率にかかわらず、大株主の議決権を、20%までに制限するというもので、端的にいうなら、買収を防止して、一定数の株式を保有するドイツのニーダーザクセン州に経営上の拒否権を与えるようなものです。
このドイツの国内法がEUの法令に違反するとして、欧州委員会が訴えた裁判で、欧州司法裁判所は、訴えを認め、持株比率に応じた議決権などを認めるように命じました。
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VW買収防止の独国内法、欧州司法裁が「違反」判決(日本経済新聞2007年10月24日)
 【フランクフルト=後藤未知夫】欧州司法裁判所は23日、欧州自動車最大手フォルクスワーゲン(VW)を敵対的買収から防ぐためのドイツ国内法が欧州連合(EU)法令に違反するとの判決を下した。VWに31%出資する筆頭株主の独ポルシェは同法の改正・撤廃をにらみ、VWの子会社化も含めた持ち株比率拡大の検討に入った。
 VW法と呼ばれる同法は、1960年のVW民営化に伴って施行された。実際の持ち株比率にかかわらず、大株主の議決権を20%までに制限し、持ち株比率20%で第2位株主である地元ニーダーザクセン州の発言力を強く反映させる仕組み。欧州委員会は2005年3月、資本の自由移動を制限しているとして提訴した。
 判決は欧州委の主張を認め、株式保有率に基づいた議決権の配分、ニーダーザクセン州政府などの特権の廃止などを命じた。ポルシェのヴィーデキング社長は「持ち株比率に応じた議決権の行使に関心がある」と歓迎する声明を発表。州政府は「VW株を継続保有する」と表明した。(00:23)
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ドイツは随分変わったことをしているのだなあと驚かれるかもしれませんが、もともとドイツの企業経営では、労働者が参加できるなどかなり変わっているので、それほど驚くには値しないかもしれません。
そのせいで機会費用がかかるため、ドイツからは企業が逃げ出す傾向がありました。
労働コストの高いドイツということは今も変わっていません。
さて、EUができても、構成している各国は主権を失ってはいませんので、国ごとの法制度が維持されているのですが、EU指令というものがあり、各国はこれに依拠した国内法整備を求められます。
そのため、国外から法律の有効性を云々されるようになっています。
今回の一件はそのような例の一つということになります。
さて、日本でもこんなことはできるのかといいますと、出資の額に比例しない、議決権を株主に与えることと言い換えるなら、可能です。
普通株式しか発行していないなら無理ですが、種類株式を発行して、それぞれの株式で単元を変えてしまえば、可能になります。
単元以外の内容をいじらないと、権利内容に応じた価格しかつきませんので、優先する配当の額などを調整すれば、うまくアレンジできるでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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