犯罪による逆風


ここ数日、未成年者がかなり特徴的な刃物を使用して、家族を殺傷するという恐ろしい事件が複数件発生しています。
そのあおりで、番組内で刃物による殺傷事件が発生してしまうアニメが相次いで放映中止になっています。

事件発生後に中止にする以上、事件との因果関係云々よりは、事件を連想させてよくないとか、さらに伝播すると困るという考えによるものでしょうが、実のところ、論理的に説明がつくかというと難しいところがあります。
(事件後に問題のある内容が流れるというのはSchool Daysの方には当てはまりますが、ひぐらしではすでに発生済みなので該当しないのは確かです)

映画やテレビなどの映像作品によって犯罪が惹起されてしまう傾向は確かにあるようなのですが(黒澤明の「天国と地獄」によってヒントを得て誘拐を思い立ったとされているケースがあります)、テレビの伝播力、影響力というのは実のところまったく確たる研究成果はなく、直感的な理解にととどまっているのが現状です。
テレビCMの効果も実はよく分かっていないくらいなので、致し方ありません。

このように日本では、割と放映側が自主的に対処する傾向があるので、かなり自主規制ですんでいる点があるのですが、これを法的にコントロールしようといったら、根拠が不明確である以上、非常に困るでしょう。

実は、日本は表現の自由では、すっかりフロントランナーになってしまっています。
実は好ましくない表現は世界的に規制される傾向にあるのですが、日本は二重の基準論のおかげか表現の自由は絶対的に保護されるとされています。
子供に悪影響だとか差別を助長するだとか理由をつけている諸外国のその手の立法がどれほどしっかり目的と手段の合理性を検討しているかは、ものによっては疑問のこともあるでしょう。
放送事業者がかなり限定され、規制の強い世界であるために、自主規制などの対処で済まされている面がありますが、はたしてこのままでいいのか、大丈夫なのかは、世界的な潮流を考えると予断を許さないかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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