全部取得条項付種類株式の取得価格決定申立てで鑑定費用の問題が浮上


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焼肉店「牛角」を運営するレックスホールディングスのMBOで、反対株主が会社法172条1項の価格決定申立てを行ったことは以前お伝えしましたが、東京地裁は価格決定について鑑定を行うことを11日に決めた模様で、本日の日経の法務面に、鑑定費用の負担をめぐって問題点が指摘されています。

鑑定費用が申立て側の株主にも課せられる場合、裁判所によって決定される取得価格によっては、元が取れない可能性があるためです。

すでにカネボウの件で同様の申立てが行われて、鑑定を行ったとのことでその費用は5000万円かかったとされています。
裁判所は、会社提案の買取価格と株主の主張価格と裁判所が決定する価格を比較して乖離している方の負担を大きくする費用分担を検討しているとされています。
この負担方法をとっても、株主側がいくらか負担することは明らかですので、元が取れるのかわからないとなると、そもそも制度の利用がなされないのではないかという懸念も起き得るところです。

全部取得条項付種類株式は、比較的容易にできますが、この理由は株主総会の特別決議を必要としていたり反対株主に対しても制度的手当てをしているためでした。
上記のようにその制度の一部が事実上の問題で空洞化してしまうと、制度設定の根底を揺るがすことになるので、費用負担についての手当てが必要なのではないでしょうか。

おまけですが、ちなみにレックスのケースでは、株主側は費用負担を避けるため鑑定を申し立てていませんでした。それなのに鑑定を行うことになったのは、裁判所が鑑定を命じることができるためです。

価格決定の申立ては、非訟事件にあたります。
会社法の訴訟事件は826条以下に限定列挙されていますし、非訟事件の章にある870条4号に価格決定申立てに関する規定があることからも明らかです。
非訟事件では非訟事件手続法10条から鑑定については民事訴訟法の規定を準用しているので、民事訴訟法151条1項5号から釈明処分としての鑑定がでてくることになります。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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