最高裁、スティール・パートナーズの許可抗告および特別抗告を棄却 ブルドックの買収防衛策発動へ


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ブルドックの買収防衛策に関して、最高裁はスティール・パートナーズの許可抗告および特別抗告を棄却しました。
これにより、スティールの申立てを却下した判断が確定します。
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ブルドック買収防衛策、最高裁も合法と認める(日本経済新聞2007年8月7日)
ブルドックソースの買収防衛策を巡る差し止め仮処分申請で、最高裁第二小法廷は7日、米投資ファンドのスティール・パートナーズの特別抗告と許可抗告を棄却する決定をした。最高裁が買収防衛策に対して判断を示したのは初めて。
 ブルドックは9日にスティール以外の株主から新株予約権を取得して新株を交付、スティールには現金を交付する。スティールの持ち株比率は約10%から3%以下に引き下げられる。
 10日はスティールが実施しているTOB(株式の公開買い付け)の期限。最終的に防衛策の差し止めが認められなかったことで、スティールは株数の増加に応じてTOB価格を引き下げるか、撤回するかの選択肢を迫られる。
(略)
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最高裁判所第二小法廷平成19年08月07日決定 平成19(許)30株主総会決議禁止等仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
何もいわずに棄却するのも可能だとも思える事例ですが、事前に予想されていた通り、最高裁はちゃんと判断を示しました。
ざっと読んだだけですが、最高裁の理由付けは以下のようです。
●株主平等原則に関して
株主総会で決議された買収防衛策である以上、株主の多くがスティールの行為が会社の価値を毀損すると判断したものであり、スティールが経営方針等を明らかにしないことから、この株主総会の判断の正当性を失わせる重大な瑕疵はない。
この判断を前提にして買収防衛策の相当性を検討するに、株主が必要な措置として是認したものであり、対価を受けられることから相当性を欠くとは認められない。
(この下りは、株主に意思に対して、防衛策の内容自体は会社の提案であるため、比例原則のような考え方から相当であるか別に検討の対象とする趣旨ではないかと思います)
以上のもとでは、濫用的買収者か否かにかかわらず、株主平等原則に反しない。
●不公正発行に関して
事前の定めはなく突然設けられたものだが、そのことで対策を講じてはいけないことにはならない。本件事案は企業価値の毀損を防ぐためのものであるし、対価も交付するので不公正発行ではない。
以上から、「本件仮処分命令の申立てを却下すべきものとした原審の判断は,結論において是認することができる。」としています。
結論において是認できるという言い方をしていることから、理由付けは変えていることを最高裁は示しています。
違うところは色々あるかと思いますが、まず目立つのは濫用的買収者のところだと思われます。
最高裁は原決定のように「スティールは濫用的買収者である」ということは指摘しませんでした。
これは濫用的買収者ではないということを言っているのではなく、本件事案のような買収防衛策なら相手が濫用的買収者ではなくとも可であるとしているように読めます。
もっとも、株主平等原則に反しないかで株主総会の判断に瑕疵がないかを検討しているくだりで、原決定ではスティールが濫用的買収者であることの根拠とした事情と同じことを指摘しているので相手方の態様と完全に関係がないとはいえないでしょう。
決定当日中にリリースがあるとは非常に迅速な行動であり、最高裁が相当重要視していることが分かります。
最高裁は法律審なので当たり前なのですが、原決定にあった刺激的な内容は鳴りを潜めているのが印象的です。
とりあえず速報ということでアップさせていただきます。
さらに詳細に読んで追記したいと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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