誰が勝者か


結局、スティール・パートナーズの法廷闘争は実を結びませんでしたが、果たしてこの一件は誰のためになったのでしょうか。

こんなに対価を払う買収防衛策は非常に珍しいです。
ユノカル事件の買収防衛策を比べると一目瞭然だと思われます。
(ただアメリカではこのような差別的な自社株買いはSECによりすでにできなくなってはいますが。)

スティール・パートナーズはひとまず課税はされてしまうものの、これまでのブルドックに対する投資に比べたらお釣りが来ると思われます。

一方ブルドックは、どうしても買収されたくなかったようなので、これはこれで満足なのでしょう。
両方にうまくいく手を編み出した西村の手腕が一番勝ったということもいえるかもしれません。

よって勝者はよく分からないのですが、取引があってブルドック株を保有している会社はともかく、一般株主は財産的には損となる可能性があります。
スティールの買付価格は、グリーンメーラーがやるような脅迫的な価格設定に比べたらかなり合理的でプレミアもついていますので、応じて売るのが一番財産的にはよいことになる可能性があるでしょう。

こう考えると裁判所が強調した株主総会で決議を取ったことは、別の意味がある可能性が浮上しますね。
結果として財産的には損になったとしても、決議時点での判断としては、許容したことと取られる可能性があります。

このように考えると、応じなかった取引先企業の取締役にも代表訴訟が起こされかねないですが、今のところ裁判例では公開買付に応じなかったことで提起された代表訴訟は、取締役の判断は認められていると思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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