世界同時現象


少し前の日経の夕刊の「世界の話題」というコーナーに載っていたのですが、スペインでシチズンシップ教育というのが導入されるそうです。

これは、市民としての権利義務、民主主義への積極的関与、法の順守、人種・性・宗教による差別の排除を狙いとするものだそうで、背景には、スペイン社会が寛容に過ぎ、権威が欠如しているということが指摘されています。
要するに、ファシズムと独裁への反省ゆえに、一切の権威に対して否定的であるために、個人が増長してしまい、抑制や限度を知らない子供が公共空間での傍若無人行為とか果ては暴行を働くなどという問題になっているという話です。

反面教師としたため、その逆を行き過ぎたという話ですが、抑制を知らない人間が増えて困るなんて話は最近の日本にも極めてよく当てはまりますし、その元となった行動原理も、戦後日本の思想的なものと一致します。

個人主義を行き過ぎて、勘違いしてしまうのは世界共通の現象だったことがわかって興味深いのですが、同時にそれらに対して厳しい目を向けて修正の動きをしつつあるもの世界共通であることに驚きました。

日本では、まだ、権利だけではなく義務を教えるべきだなどという見解の主張とか、国を愛する心を教育に盛り込もうというくらいにとどまっていますが、やはりけしからんと考える人は世界共通でいるわけですね。

そのため人権思想に対して懐疑的な見解も出てくるようですが、人権思想から論理必然に個人が増長するわけではなく、お題目を適当に理解したためにそうなるにすぎません。よってその安直さを批判するならともかく、人権にまで反発するとあとで困ることになるでしょう。

人権も法なので法として論じますが、このような安直な理解と反応であれ、変化をもたらしたのは確かですので、法が社会に与える効果は極めて大であるわけです。
瑣末な例ですが、個人情報保護法の施行に伴って、個人情報に対する意識が高まり、行き過ぎて、保護されないものまで個人情報だといって拒否する滑稽なケースがでていますが、根底には同じ構造があるのだと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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