公取委、ヤマダ電機に優越的地位濫用のおそれで立ち入り検査


家電販売最大手のヤマダ電機に対して、公取委が10日に立ち入り検査をしたことが明らかになりました。

家電販売販売市場での圧倒的な地位を利用して、納入元である家電メーカーに販売員の派遣要求とその管理まで行っていたという優越的地位濫用の疑いがもたれています。

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ヤマダ電機に公取委が立ち入り、販売員派遣要求の疑い(読売新聞2007年5月10日)

家電量販店最大手・ヤマダ電機(本社・前橋市)が家電メーカーなど納入業者に対し、店舗で働く販売員らを不当に派遣させていた疑いが強まり、公正取引委員会は10日、独占禁止法違反の疑いで本社や複数の店舗を立ち入り検査した。

 公取委は、ヤマダ電機の行為が、独禁法が禁じる「不公正な取引方法」のうち、取引上の優越的な地位を利用して不当行為をする「優越的地位の乱用」にあたるとみて調べている。

 関係者によると、ヤマダ電機はここ数年の間、関東地方の複数の店舗などで、最大手の販売力を背景に、家電製品やパソコンの周辺機器などを納入しているメーカーに対し、「ヘルパー」と呼ばれる販売員を店舗に派遣するよう要求。

 ヘルパーは、メーカーが自社製品の販売促進のため人件費を負担して派遣するものだが、ヤマダ電機は、出勤日を指定したり、他社製品のキャンペーンで販売ノルマを課すなどしてヘルパーを管理し、自社の業務までさせていた疑いが持たれている。

 新規開店のため、ヘルパーに商品の陳列作業をさせたケースもあるとされ、「求めに応じないと自社製品を販売してもらえなかったり、他社製品と差別した取り扱いをされたりした」などと証言している納入業者もいるという。

(略)
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独禁法に規定されている独禁法違反行為とされているものは3種類で、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法です。

このうち「不公正な取引方法」には、様々なものが列挙された一般指定というのが定められており、そのうちの14項に優越的地位濫用が規定されています。

(優越的地位の濫用)
14 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること。
一 継続して取引する相手方に対し、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
二 継続して取引する相手方に対し、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
三 相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること。
四 前三号に該当する行為のほか、取引の条件又は実施について相手方に不利益を与えること。
五 取引の相手方である会社に対し、当該会社の役員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二条第三項の役員をいう。以下同じ。)の選任についてあらかじめ自己の指示に従わせ、又は自己の承認を受けさせること。

優越的地位濫用を規制する趣旨は、独占的な地位を有している側がそれを利用して言われなき負担を強いるのをやめさせようという趣旨です。
すでに独占的な地位が生じていることが前提であるため、競争が制限されることを問題視しているというよりは不法行為の禁止に近い趣旨です。
このため競争を保護することのみを主眼としているアメリカでは優越的地位濫用は規制されていません。

しかし、今回のヤマダのケースではかなりの地位を有してはいますが、独占ではありません。むしろ、優越した地位を利用して納入業者に負担を課して、さらに家電量販店市場での競争を有利にしようとしたということで競争を制限する性質があります。

これはナイガイ事件と同じで、実は私的独占と構成することも可能であるものの優越的地位濫用でいってしまうということを意味するかと思います。

日本の独禁法は競争制限とは直接関係ない優越的地位濫用を規制しているわけですが、非常に融通の利く使い方をしている点もあり、競争と無関係な案件ばかりではありません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

One thought on “公取委、ヤマダ電機に優越的地位濫用のおそれで立ち入り検査

  1. ヘルパーに行くのは、下請け子会社、孫会社、協力工場のの社員、というのが実情です。

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