最高裁、金銭消費貸借契約の過払金は、当然に後の債務には充当されず、その返還の利息は5%であると判示


長くて分かりにくいタイトルですみません。
みなし弁済の適用要件を満たさず、結果として払いすぎになった金銭消費貸借契約で、過払金の取り扱いについて最高裁が2点判示をしましたので取り上げます。
最高裁判所第三小法廷平成19年02月13日判決 平成18(受)1187不当利得返還等請求本訴,貸金返還請求反訴事件
まず第一点目の判示は、複数の金銭消費貸借契約がある場合に先契約で過払金が発生した場合、当然に後の契約の弁済に充当されるかについてです。
サラ金から何回にも分けてお金を借りることはよくあるので、これは中々適用場面の多くなりそうなところですが、最高裁は、当然には充当されないとしました。
理由は当事者に通常そういう意思がないからとしています。
本件では、複数回の金銭のやり取りを前提とした基本契約みたいのを締結しておらず、単純に2回お金を借りただけだったことと、過払になった原因が、みなし弁済の適用要件である書面の不交付という後発的な要因によったためです。
よって最初にお金を借りるときには払いすぎたら後の借金に充当するという合意はなかったとしたわけです。これは妥当な判示でしょう。
わざわざこんなことを細かく論じる意味がどこにあるのか不思議に思われる方もいるかもしれません。
後の借金に充当しようがしないで返還すべき債権として存続して後の借金は別に支払った分から充当しようが、どちらにせよ最終的には同じと思われるかもしれません。
しかし、過払金を受け取った方は民法704条の悪意の受益者になってしまうため、返還するのに利息をつけないといけなくなります。
一方、債務が残っているなら、そちらに金利がつくので、なるべく残債務が小さくなるようにしたほうが戻ってくる額は多くなるわけです。
このケースでは、過払いに利息がつく一方で新しい債務が発生して、完済していないことになるので、戻ってくる分は減ってしまいます。
第二点目ですが、その返還額に付する利息は、商事法定利率6%ではなく民事法定利率5%が適用されるとしました。
この理由として返還の根拠が商行為ではなく、利息制限法という借り手保護の法律によっており営利性がないからだとしています。
結論から言うと、第一点目、第二点目とも返還額が減るようにしていますが、理論的な帰結であるのだとしましょう。
第二点目はともかく、第一点目は基本契約を結んでその中に盛り込んでおけば回避できるので、実務としてはまだまだ工夫の余地がありますが、みなし弁済自体がなくなろうとしているのでこれから何かやるということにはならないでしょうね。
3月21日訂正しました

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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