いちごアセットの委任状勧誘で東京鋼鐵と大阪製鐵との株式交換が総会で否決されるおそれ


2006年10月26日に大阪製鐵が東京鋼鐵の完全子会社化を発表していますが、その方法は株式交換を採用することとなり、来る2月22日に東京鋼鐵で臨時株主総会が開催されて会社法783条により株式完全子会社側での株式交換契約の承認の議案がかけられます。
しかし10月26日以降に東京鋼鐵の株式を取得し始めたいちごアセットマネジメントというファンドが、株式交換の比率に反対であるという理由から、反対票の委任状勧誘を行い、すでに自身の持分とあわせて、16日の報道では総議決権の31%を集めており、22日の総会で否決されるおそれが強くなっています。
株式交換契約の承認は、会社法309条2項11号より出席株主の3分の2の賛成が必要な特別決議を要するとされているので、全議決権の参加はまず見込めない以上、31%ですでに3分の1を越えていると思われます。
会社の経営陣同士が合意した組織変更が株主に否定されるのは極めて珍しい事態です。
いちごアセットマネジメントなるファンドは、元モルガン・スタンレーの幹部が設立した日本株のファンドで、名前の「いちご」は一期一会から来ているそうです。
問題としているのは、株式交換比率であり、経営統合自体には賛成としています。
今回諮られる株式交換比率は、東京鋼鐵1株に対して大阪製鐵0.228株であり、株式交換を発表したときの株価は、東京鋼鐵450円ほど、大阪製鉄2000円ほどだったため、ほぼ等価の交換比率でした。
全くプレミアがついていない点をいちごアセットは問題視しているとしています。
ちなみに16日の終値時点では、大阪に比べて東京の方が価格が伸びているため、東京鋼鉄の株主の方が損になります。
いちごアセットは株主になったのが急であったため株主提案権まではないので、否決するだけという戦術になっています。
否決まではかなり見通しが立っていますが、否決したところで大阪製鐵の側まで巻き込まなくては株式交換比率の変更(決議が取れないときは株式交換契約は失効するので内容になっているので正確には新しい契約)はできません。
東京鋼鐵が非常に困る状況に陥りそうな可能性がありますが、ひとまず22日の結果を待ちたいと思います。
知名度の高い会社が巻き込まれているため、スティール・パートナーズとサッポロの件が非常に注目されている中での同時進行ですが、企業法務に与えるインパクトはこちらの一件のほうがはるかに大きいのではないかと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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