最高裁、割増退職金が支給される選択定年制で承認がない場合には同退職の効果は生じないと判示


最近では鳴りを潜めましたが、日本経済がどん底で企業でリストラが相次いだ時期に、比較的規模の大きな有名企業では割増退職金を支給して早期退職を促す事例が相次ぎました。
これは、臨時の措置であるわけですが、早期退職制度を恒常的に有するという制度設計もあるらしく、その場合は、従業員から使用者へ早期退職の申し入れをして、使用者が認めれば、割増退職金が支給されて退職するというプロセスを踏むようになっている模様です。

このような退職制度を有する協同組合で経営悪化のために早期退職を認められなかった事件があり、最高裁判決が出ました。

最高裁判所第一小法廷平成19年01月18日判決 平成16(受)380 賃金債権確認請求事件

原審である東京高等裁判所は、認めないと退職の自由を制限することになるという理由から早期退職を認めたのですが、最高裁は割増退職金が出ないだけで普通の退職をすることはできるから退職の事由に対する制限にはならないとして原審を破棄しました。
自判しているので第一審も訴えを認めたものと思われ、最高裁は一気に下級審の判断を覆しました。

東京高裁が言うのは、多分、割増退職金がもらえないと事実上、働き続けざるを得ないため実質的に退職の自由の制限になるということでしょうが、最高裁は退職の事由には、別に割増退職金をもらう権利が含まれているわけではないと判断したわけです。

これは最高裁の言うとおりで、制度設計の違いでどこの会社に勤めているかで基本的人権の内容に実質的な違いが生じるのは変ですので、もっともな指摘ではないかと思います。

リストラでよく使われた一般的な早期退職制度は、会社からの申し出に社員が応じると効果が生じる類のものでした。
この事例では組合には可否の判断に完全な裁量がある制度設計となっていたため、このような判断になったのであって、一般的なリストラで認める認めないの話になったら、これと同様な結論にはならないと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)