最高裁、証券投資信託の受益者の債権者による解約権行使と解約金支払請求権の取立てを認める


信託は基本的には、委託者と受託者と受益者の三者関係ですが、実際、金融商品で信託形式を活用している場合は、この三者のほかに、販売チャネルとして証券会社などの販売者が委託を受けて登場してきます。

本来ならば、上記、三者間で行われるべき法的関係の変更も実際の窓口になっているのは、信託には登場しない販売会社であるとどこを相手にすればよいのかが問題となりえます。
そのような事例で最高裁判決がありました。

最高裁判所第一小法廷平成18年12月14日判決 平成17(受)1461取立債権請求事件 

当事者と関係は図の方も参考にして下さい。
Aは販売会社である被上告人から受益証券を購入しましたが、当該投資信託は受益者が販売会社に解約を申し出て、販売会社がBに伝えてBは解約金相当を販売会社に支払い、受託者CがBに解約金を支払うという形になっています。
Bと販売会社の関係は、委託契約となっています。

上告人はAの債権者Dの相続人ですが、ここではDと同一として扱います。
上告人は、解約金が販売会社である被上告人からAに支払われる形になることから、Aが有する解約金を差押えました。
そのうえで解約権を行使して、被上告人に対して一部解約金の支払を求めたという事案です。

原審の東京高裁は、販売会社自体は信託の当事者ではなく、Bとの委託契約でよって関係に入っているだけであることに注目して、販売会社の義務はBに対してはあるものの受益者に対するものではないとして、解約をする適格にかけるとして支払を認めませんでした。要するに解約できるのは委託者Bでないといけないという判断です。

これに対して、最高裁は、上記の信託法理の原則に依拠した判断は認めつつも、解約の請求や解約金の支払などの詳細の事務が販売会社に受益者が販売会社に持つ口座の利用を前提としているという実態があることから、販売会社に一部解約金の支払義務があると判断しました。

加えて、受益証券自体は販売会社が保護預かりしており、実際のペーパーは受託者に保管されているだけで、だれが受益者との関係は事実上、販売会社が管理しているような実態があることも理由としています。

要するに、関与の実態が相当ある以上、信託の関係自体には入っていなくても義務を負うという判断と評価できましょう。

まだ、民事執行法155条1項より債権者は自己の名で、一身専属の権利を除いて取立てに必要な一切の行為を行うことができますが、解約権の行使もこれに含まれると判断しました。

信託の方形式の活用は広がっていますが、実態としては証券会社の販売する金融商品の一種という位置づけですから、税務上の面がかなりある法形式の選択の差異で他の金融商品と扱いをやたらと異にするのも問題であるという意識でしょう。
妥当な判断ではないかと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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