公取委、合併審査時の基準で世界シェアの考慮と寡占度の採用を公表


企業再編が独占や寡占を生んでしまうと競争を阻害するため、独禁法には認められない企業再編について規定があります。

たとえば合併の場合は以下のように定められています。

第15条(会社合併の制限)
会社は、次の各号の一に該当する場合には、合併をしてはならない。
一 当該合併によつて一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合
二 当該合併が不公正な取引方法によるものである場合

他の企業再編に形態にも同様の条文が用意されています。

この条文だけだと定性的に過ぎ、当事者の予見可能性を害すること大なので、規定を具体的に運用するための指針として、公取委はガイドラインを作っています。
これは正式名称は「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」というのですが、色々な定量的な基準とかが用意されています。

今回、このガイドラインの内容が改められることになり、公取委から公表されました。
公取委のリリース

単純にまとめると、変更されるのは二点です。
①従来は国内市場での支配力を見ていたのを、世界市場をも考慮するように改める
②合併後のシェアで支配力を見ていたのを、寡占度という新しい数値を用いてその市場の寡占が進みやすいかどうかを判定するのに改める

寡占度というのは、その市場の上位何社かのシェアを二乗して足し合わせるもので、合併後の会社のシェアとかを表すのではなく、その市場が寡占的であるかどうかの特徴を把握するものです。この市場の寡占度と企業結合後の寡占度も出して、差をとり、この差と市場の寡占度との相関で考えていこうとするわけです。

要するに寡占度とは上位何社かで占められるシェアがどれくらいかということを図るもので、上位何社かのうちのいくつかが企業結合すると、二乗しているため、寡占度は上がってしまうわけです。
市場の寡占度が小さいなら寡占度の増分はある程度大きくても許容できるが、そもそも寡占度の大きな市場ならさらに寡占度が上がることはそうそう許容できないというわけです。

こう考えるともっともな気がしますが、寡占度を出すとき第何位まで足すかが大問題です。
市場の寡占度は、その他の各社が占めるのがいかに多いかを見るものですが、上位5社足すとか10社足すとか変わるだけで寡占度はえらく変わってきます。
その辺に若干の恣意が生じうる気がしますが、寡占度も指標の一つに過ぎないので、総合判断すれば大丈夫ともいえると思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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