書籍・雑誌の貸与権誕生で大手が書籍レンタルに参入


2月1日から書籍の貸与権に対する使用料の徴収制度が始まります。
これを利用して、従来から行われていたCDなどの貸与権を利用したソフトレンタル業界が書籍レンタルにも参入することが明らかになりました。

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書籍レンタル、大手が参入・「TSUTAYA」が4月(日本経済新聞2007年1月25日)

AV(音響・映像)ソフトレンタル最大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は4月からマンガ単行本(コミックス)のレンタル事業を始める。著作権法で書籍の貸与権が認められ、2月1日からレンタル使用料の徴収制度が始まるため。DVDや音楽CDに次ぐ柱として育てる考えで初年度100店の展開を目指す。他のレンタル会社や書店も追随する見込みだ。
(略)
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著作権は著作者に認められる権利の総称ですが、そのうちの一つに貸与権というのがあります。
要するに貸与する権利でして、これを誰かに付与すれば、受けた側は著作物の貸与事業ができるわけです。

著作権法では、著作者と(その著作物にいるならば)実演家とレコード製作者に貸与権が認められますが、著作権者の貸与権は、26条の3に規定されています。

第26条の3(貸与権)
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

この規定は別に最近できたわけではなく昭和59年改正で誕生したものですが、するとなぜ今になって書籍貸与ビジネスが始まるのか疑問になる方もいるかと思います。

今回の変化のそもそもの原因は、平成16年の著作権法改正にあります。
同改正で、著作権法附則の4条の2が削除されました。
これは、著作権法26条の3は当面の間、書籍と雑誌については適用しないという内容を定めていたもので、4条の2があることで書籍と雑誌には貸与権がありませんでした。

これは既存の貸本業が、社会の実態として相当程度の長い歴史を有しており理解を得にくかったことと、経済実態としてそれほど大きくなかったため著作権者にとってそれほど不利益ではなかったためです。

今回晴れて公明正大に権利として認められた(正式には解禁となったという感じです)のは、貸本業の実態が伝統的な小規模なものではなくなってきており、著作権者にとっての影響が大きくなってきたためです。
このような変化の担い手は若干ジャンクな業者でしたが、今回、使用料させ払えば法的に問題ないということで、資本力のある大手が参入する状況になったわけです。

中古ゲームソフトの件でもそうでしたが、法の間隙をつく事業で市場を切り開いても法改正後に資本力の大きなところが報われてしまう傾向があるのが著作権の世界ですので、今回のそれを如実に表しているように思えます。

ちなみに貸与権の使用料徴収の対象にマンガ喫茶は含まれません。
文化庁は、著作権法上の貸与を店外への持ち出しを認めることとしており、ここから考えると店舗内での閲覧を認めるだけのマンガ喫茶は該当しないからです。
ただ、著作権法上の貸与の意義が争われた判例はないと思われます(ざっと調べただけですが)。
立法担当者が言っている以上まずそのまま解釈されるでしょうが、法的に完全にお墨付きがあるわけではないということは確かです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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