最高裁、弁済期後に譲渡担保権者の債権者が担保目的物を差押えた場合に、担保権設定者の第三者異議を認めず


判例による積み重ねで確立した法理となっている譲渡担保ですが、まだ裁判例のない分野もあり、様々な見解が示されている分野でもあります。
そのうちの一つに、譲渡担保権者から担保の目的物が譲渡された場合がありますが、所有権的構成と担保的構成のどちらかをとるかでかなり結論が変わることもあり、議論のあるところです。

このうち譲渡担保権者の債権者が弁済期後に担保目的物である不動産を差押えたところ、譲渡担保権設定者が弁済して第三者異議を申し立てた場合について最高裁判決が出ました。

最判平成18年10月20日判決 平成16(受)1641第三者異議事件
判決全文はこちら

結論として最高裁は第三者異議を認めませんでした。
理由として、弁済期後であるため譲渡担保権者は完全な処分権を取得するからと指摘して、所有権的構成をとる従来からの判例の立場からの判示を行いました。

しかし、弁済前の場合についても言及があり、この場合は第三者異議は可としました。理由としては、上記の逆として弁済期より前なので譲渡担保権者に完全な処分権がないからとして、弁済期を境に担保権者の権能に違いが出ることを認めました。
この点は学説で有力な担保的構成にも配慮を示したといえると思います。
所有権的構成を突き詰めると弁済期の前後にかかわらず、第三者異議はできないという考え方にもなるのでこの点は新しい一歩といえるかと思います。
大審院判例で弁済期前に譲渡した場合でも第三者は完全な所有権を取得できるとした判例(大判大正9年9月25日)がありますが、この判例は実質的に修正されてきているといえるのではないでしょうか。

ただ内田教授は著書の民法Ⅲでこのような状況下では第三者異議をできると解すべきと明言されており(民法Ⅲ・第3版、538ページ)、担保的構成が有力な学説の立場からすると反対の意見が強くなりそうな感じです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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